順天堂医学
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原著
MSG肥満ラットの生長と脂肪肝におよぼすタウリンの影響について
森島 昭林 泉彦
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キーワード: タウリン, 脂肪肝, MSG rat
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1991 年 37 巻 1 号 p. 55-62

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抄録

実験的肥満ラットを用いて肥満と脂肪肝に対するタウリンの予防効果について検討した. Wi-ster系仔ラット21匹を用いて, 5匹を対照 (A群) とし16匹には生後5日間, L型monosodium glutamate (MSG) 4mg/g体重/日を皮下投与して視床下部腹内側核 (満腹中枢) を障害した. 3週齢目に離乳して固形食クレアC-IIで飼育し, 同時に8匹にタウリン0.5mg/g体重/日を経口投与してこれをC群とし, 残り8匹をタウリン非投与群 (B群) とした. 21週齢目に屠殺して各群ラットの血清生化学検査と肝組織の検索を行った. その結果, C群ラットのGOT・総コレステロール・エステル型コレステロール・遊離脂肪酸の各値はAおよびB群に比して有意に減少しており, C群のGPT・HDL-Cの各値もB群に比して有意に減少していた. 肝組織中の光学顕微鏡的脂肪滴の数量ではC群のものがB群に比して減少していた. さらにImageanalyzer LurexIIIを用いて, oil red O染色肝組織標本中の脂肪滴の占める割合を定量的に解析したところ, C群は9.7±5.3%であってA群の8.0±5.0%よりも多い傾向があるが, B群の20.0±8.0%に比しては有意に減少しており, 脂肪肝発症に対するタウリンの予防効果が認められた.

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© 1991 順天堂医学会
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