順天堂医学
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原著
閉塞性黄疸解除後のursodeoxycholic acid負荷効果に関する研究 : 雑種成犬での検討
小林 滋
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1991 年 37 巻 1 号 p. 63-75

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抄録

胆道閉塞および胆道閉塞解除後の病態をしる目的で, 雑種成犬に対し実験的に胆道閉塞解除モデルを作成し, ursodeoxycholic acid (UDCA) の経口負荷試験を行い, 胆道閉塞の肝におよぼす影響を胆汁酸代謝の面から検討した. また, UDCA投与が胆汁中ビリルビン排泄におよぼす影響を検討した. 胆道閉塞群は閉塞解除当日には, UDCA負荷後の血中消失曲線で血清中UDCAのピーク値が著明に上昇し血中消失が遅延していた. そのうち, とくに抱合型UDCAが上昇していた. この変化は閉塞期間が2週までの群で解除2週後には改善したが, 閉塞期間が3週になると改善が遅れる傾向がみられた. 経口負荷後の胆汁中UDCAの排泄は胆道閉塞解除後も減少していた. 胆道閉塞が肝に与える障害は胆汁成分の排泄障害が主であった. また, UDCAを投与することによって胆汁中ビリルビン排泄は対照, 胆道閉塞群とも解除当日に増加した. UDCAの投与は閉塞解除後のビリルビン排泄に有益であると考えられた.

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© 1991 順天堂医学会
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