順天堂医学
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原著
多変量解析による同種無輸血冠動脈バイパス術達成因子の検討と同種血節減の試み
-凍結保存自己血輸血の有用性と適正な術前血液準備について-
後藤 昌弘
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1991 年 37 巻 2 号 p. 188-196

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抄録
同種血輸血に関する種々の合併症は外科手術にとって重要な問題である. 順天堂医院胸部外科では, 凍結保存自己血輸血を中心に同種血輸血節減に努めているが, 症例によっては同種血輸血を余儀なくされるものもある. 本稿では, 待期的冠動脈バイパス術208例を対象とし, 同種血無輸血手術達成に関与する諸因子の検討と, 自己血輸血の有用性を判定するために判別分析を行った. この結果, 同種無輸血手術に関する因子は, 寄与率の高い順に, (1) 術後12時間のドレーン出血量 (2) 自己血輸血量 (3) 術前体重 (4) 体外循環時間 (5) 術前ヘモグロビン値であった. また, 冠動脈バイパス術において, 術前輸血準備量を節減すべく, バイパス本数別にMaximum Surgical Blood Order Schedule (MSBOS) について検討した. Type&Screenの体制がとられていれば, 術前の血液準備量は1枝バイパスでは1000ml, 2・3枝バイパスでは2000ml, 4枝以上のバイパスでも3000mlで十分であることが判明した.
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© 1991 順天堂医学会
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