抄録
システムが停止することを仮定した性質(例えば,「システムの終了は必ず正常終了である」という性質)を時間論理を用いて検証する場合には,有限な時間構造を意味論に持つ様相論理KWを用いることができる。本論文では,KWに対する様相演算子の列の統一化を用いる分解証明法を提案する。式が有限な時間構造のモデルを持たないことを確認するためには,もし式がモデルを持つならば,無限に遷移するモデルしか持たないことを調べる必要がある。ところが,様相演算子列の統一化を用いる証明法で,それを確認することは困難であった。本論文では,有限な時間構造と式の充足可能性が一致する非反復構造を導入した。式が非反復構造のモデルを持たないことを確認するためには,もし式がモデルを持つならば,繰り返し同じ遷移をするモデルしか持たないことを調べればよい。この性質に基づき,KWで式が充足不能であることを調べる証明法を構成した