抄録
舌・口腔底悪性腫瘍の治療に当たっては, 悪性腫瘍の根治性とともに機能保全が重要な問題となる. 近年われわれは舌・口腔底悪性腫瘍の切除術後に, マイクロサージャリーによる再建術を取り入れることにより, 拡大手術が可能となり良好な手術成績を得た. 1989年から1991年までの8例の再建例の検討では, ほぼ満足のいく結果であった.
本稿では舌癌・口腔底癌の症例をそれぞれ1例ずつ提示し, 実際の手術法について紹介した. また, 現在に至るまでの舌・口腔底再建の変遷に対しての文献的考察を加え, また, 現在最も多用されている遊離前腕皮弁による手術の特徴にっいての検討を行った.