抄録
膀胱全摘除術に際しては, 尿路変更 (向) ないしは膀胱置換などの尿路再建術が必要となる. 腎瘻や尿管皮膚瘻のほか, 腸管を利用した尿管S状結腸吻合や回腸導管造設術などの歴史はもうかなり長い. 最近はとくに生活の質の向上が重視される時代となってきたこともあって, 無カテーテル尿管皮膚瘻術や腸管を利用しての自己導尿型禁制尿路変更術, さらに温存した尿道から自排尿可能な代用膀胱造設・膀胱置換術などに様々な工夫が試みられている. なかでも特筆すべきは, 腸管の管状構造を破壊して袋状に縫い直し, 低圧状態が持続する尿リザーバーが考案されたことで, これを用いて様々なデザインが試みられつつある. 順天堂医院および順天堂浦安病院において1988年9月からの1年間に行った右半結腸パウチと, 回腸終末部縫縮導管による自己導尿型尿路変更術12例の評価を含めて, 最近の手術における種々の改良・工夫・手術適応選択の重要性などについて述べる.