順天堂医学
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特集 癌性疼痛管理
癌性疼痛およびその内服療法
宮崎 東洋
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1992 年 38 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

有効な手段の無くなった癌性疼痛は少なくとも軽減されるべきであり, これらの疼痛で苦しむ患者に対して, われわれの行い得る治療としての最終目的は, 疼痛の完全な消失以外には考えられない. 近年, 特に終末医療の観点から, 死にゆく患者のQOLの保持・改善が良く云われるが, 癌性疼痛を持っている患者では, そのなかでも特に身体的な痛みを消失させないかぎり, QOLの改善などは望み得ないのである. 癌末期患者の訴える痛みは, 身体的・社会的・宗教的など様々であるといわれるが, 癌の浸潤や転移による身体的痛みがその大部分であり, 最も重要な問題である. その十分な管理は, 医療に携わるわれわれに期待されるところが大である. 癌性疼痛の管理法としては多くの方法が挙げられるが, 全ての医師が行え, 第三者の手助けを必要としない最も簡単な方法は何といっしも内服薬投与による管理である. そのような観点から, 癌性疼痛の特徴などを述べ, WHO (世界保健機構) 方式を含めた癌性疼痛に対する内服療法について紹介する.

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© 1992 順天堂医学会
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