順天堂医学
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原著
Iotrolによる脊髄造影前後の脳波変化
-定量脳波学的手法を用いて-
浦上 裕子住江 寛俊岡田 滋子久留 裕
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1992 年 38 巻 1 号 p. 84-94

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抄録

非イオン性水溶性造影剤Iotrolの中枢神経系に及ぼす影響を, 臨床症状の観察・定量脳波学的手法・頭部CT検査を用いて評価した. 対象は頚部脊髄造影を施行された25例 (男16例・女9例 平均48.6歳) であり, 頭蓋内にIotrolが浸透したことが確認されている. 脊髄造影直後に4例に脳波異常が出現した. そのうち2例は24時間以降に臨床症状 (1. 幻視2. 頭痛) が出現し, 脳波異常の出現は症状の発現より先行した. 定量脳波学的手法による解析では, 左後頭葉に電気生理的反応の中心があることが示された (α波の減少p<0.05・δ波の増加p<0.05-0.10). Brain-CSF interfaceは様々な因子によって左右され個体差が大きいが, そのわずかな影響がneuronの電気生理的反応として出現するとすれば, その解析のために定量脳波学的手法は, 重要な役割を担っている.

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© 1992 順天堂医学会
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