抄録
産婦人科における腹腔鏡の役割は診断から治療へと変わりつつある. 画像診断技術の進歩により, 骨盤内臓器は非観血下に把握できるようになってきた. また近年, 腹腔鏡の周辺機器の発達は急速であり, TVモニター・ディスポーザブル器具, 電気メスやレーザーなどのエネルギー機器により安全で確実な腹腔鏡下手術が可能になった. 当教室における腹腔鏡の施行状況をみても, 治療的腹腔鏡の割合いは, 1986年の3.8%から1992年には61.5%まで増加してきている.
治療的腹腔鏡は診断と治療が同時に可能であり, 手術侵襲が小さく入院期間が短くてすみ, 手術創が小さく美容的であることなど開腹術にくらべ多くの利点を有する. 一方, 保健診療上の取り扱いや手術の手間や時間, 関連機器の高額化などの問題点も抱えている. 治療的腹腔鏡は未だ発展途上の治療法であるが, その適応は拡大されつつある. 近い将来, 大部分の婦人科良性疾患が腹腔鏡下に治療可能になると思われる.