順天堂医学
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特集 肝疾患の治療―最近の進歩
肝細胞癌の診断と治療
須山 正文有山 襄小川 薫佐藤 一弘長岩 治郎窪川 良広崔 仁煥若林 香山中 晃一郎浅原 新吾岡田 安郎
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1994 年 40 巻 1 号 p. 14-17

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抄録

肝細胞癌830例を対象にして, US・CTおよびMRIの診断能と, 肝障害の程度別 (Child分類) および治療法別の累積生存率を算出した. 単発HCC309例で腫瘍径が3cm以下では, 低エコーあるいは高エコーを示すものが多く, 腫瘍径が大きくなるに従い, 混合型やhaloを伴うようになっていた. 鑑別困難な例では超音波誘導下に針生検を行い診断を確定した. CT・MRIの腫瘍描出率は腫瘍径1.5cm以上の例で良好であった. 治療法別の生存率でChild Aで手術例の累積生存率が最もよかった. ついでTAEとPEITの併用療法, PEITの生存率がよかった. これら3療法とTAE単独群とに有意差を認めたが, 3治療法それぞれの治療法群間には有意差はなかった. Child BでPEIT・TAE+PEIT, およびTAEの各治療法群に有意差はなかったが, 1年, 2年および3年の生存率はPEIT・TAE+PEITの治療法の成績が優れていた.

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© 1994 順天堂医学会
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