順天堂医学
Online ISSN : 2188-2134
Print ISSN : 0022-6769
ISSN-L : 0022-6769
症例報告
腹腔鏡下虫垂切除術の経験
小林 滋坂本 一博原口 美明菅原 高弘榊原 宣
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 41 巻 3 号 p. 370-373

詳細
抄録

腹腔鏡下手術は胆嚢摘出術の普及に伴い, 各種の消化器疾患に応用されてきている. しかし, 腹腔鏡下手術の安全性はかならずしも確立されたわけではない. 教室では腹腔鏡下手術の適応を厳密にしているため, 胆嚢摘出術以外の手術は限られた症例に行われているにすぎない. とくに, 緊急手術が必要な急性虫垂炎手術を腹腔鏡下に行うには全身麻酔が必要であることをはじめ多くの制限がある. 本法は, 術後の疼痛が少ない・手術瘢痕が小さい. 癒着が少ない・瘢痕ヘルニアの発生が少ないなどの利点がある術式であり, 人的・物的要因に支障がない場合には, 本法を施行したいと考えている. 今回, 保存的治療で軽快した後も頻回に右下腹部の疼痛を訴えた31歳の虫垂炎症例に, 待機的腹腔鏡下虫垂切除術を行ったので, その手術手技につき報告する.

著者関連情報
© 1995 順天堂医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top