順天堂医学
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原著
マウス活性化T細胞, 血小板上に発現するβ3インテグリンサブファミリー受容体の同定, 機能特性に関する研究
安達 博保
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1995 年 41 巻 3 号 p. 361-369

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抄録

細胞外マトリックスextracellular matrix (ECM) 受容体インテグリンは, 細胞遊走・増殖分化・形態形成などに重要な働きをしている. またT細胞上では, 遊走や細胞活性化に関与する. われわれは既にLAK細胞の標的細胞認識に関与するCD2, あるいはLFA-1以外の分子の存在をモノクローナル抗体 (RMV-7) を用いて明らかにしてきた1) . 同分子 (RMV-7抗原) は抗ヒトVNR抗体と交叉反応を示し, 同抗原のα鎖のN末端アミノ酸鎖がヒトVNRのα鎖と高い相同性を示したことより, それがマウスビトロネクチン受容体 (VNR) インテグリン (αvβ3) と相同なものであることが示された. 同モノクローナル抗体 (RMV-7) が, αvに対するものであったことより, 今回, 著者はRMV-7抗原のβ鎖 (β3) に対するモノクローナル抗体を作製し, HMβ3と命名した. 同抗体は1) RMV-7抗原相同分子を認識, 2) マウスT細胞ハイブリドーマ (2B4), マウス血小板および活性化T細胞と反応した. 以上の結果より, HMβ3は血小板上に認められるインテグリンファミリーに属するβ3サブファミリーgpIIb/IIIaのβ鎖に対するモノクローナル抗体であると考えられた. 今回作製したモノクローナル抗体は, 今後マウス血小板の機能解析に有用と思われた.

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© 1995 順天堂医学会
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