順天堂医学
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特集 『骨粗鬆症をめぐって』
小児期・青年期からの骨粗鬆症の予防
時田 章史吽野 篤三浦 優子田和 俊也石川 明道山城 雄一郎藪田 敬次郎深間内 一孝三橋 直樹桑原 慶紀鈴木 勝彦南谷 和利沢木 啓祐
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1996 年 42 巻 1 号 p. 45-54

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抄録
近年の平均寿命の伸び, 高齢化社会の到来と共に, 成人病の一つとして骨粗鬆症, 特に退行期骨粗鬆症が注目されるようになった. 骨粗鬆症患者は現在250万人とも500万人いるとも言われ, 今後その数は急速に増加すると推測され, その予防が重要なテーマとなってきた. 骨粗鬆症は明らかな原因疾患が存在しない原発性骨粗鬆症と, 他の基礎疾患に伴って発症する続発性骨粗鬆症とに大別されるが, 小児期においても骨粗鬆症は存在し, 退行期骨粗鬆症を除くすべての骨粗鬆症, すなわち若年性骨粗鬆症と全身疾患・薬剤・不動化などに伴う続発性骨粗鬆症が存在する. 骨粗鬆症の予防として, 10歳代後半に最大となるピークボーンマス (最大骨量) を増加させることが重要になってきた. 十分な栄養を取ること, 特にカルシウムの摂取を心がけること, 適切な運動を行うことが予防の基本である. 一方, 遺伝的要因も重要であることが最近の知見で明らかになりつつある. ビタミンD受容体遺伝子多型は骨粗鬆症の発症に関与する体質を知る一つの手段になりうる可能性がある. 今後は遺伝的体質に応じた, 栄養指導・運動指導を小児期および, 青年期から個別に行うことが効率の良い予防法につながるであろう.
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© 1996 順天堂医学会
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