今回, IgA腎症の進展機序を明らかにする目的でIV型コラーゲン, ラミニン, フィブロネクチン, I型コラーゲンなどの糸球体細胞外基質 (ECM) 成分の糸球体内分布とIL-1, IL-2, PDGF・AA鎖, PDGF・BB鎖, TNF-αなどのサイトカイン・成長因子の発現を蛍光抗体法により検索した. その結果, IgA腎症病変の進展につれてIgA, C3の沈着と平行して, これらECM (フィブロネクチン・ラミニン) が糸球体メサンギウム領域に増生・蓄積し, さらに糸球体毛細血管壁内皮細胞下へ進展していることが確認された. また, 組織障害の高度な症例ではIL-1, IL-2, PDGF・AA鎖, PDGF・BB鎖, TNF-αが糸球体メサンギウム領域を中心に染色された. 以上より, lgA腎症の進展には, ECMの産生異常と蓄積が関与していると思われ, そうした現象にはこれらサイトカイン・成長因子の関与が示唆された.
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