抄録
大学においては, 高度化する医療技術の発展に対応するためにカリキュラムの改善にせまられ, 一方では広い見識を持ち基礎学力を十分に身につけた学生の養成がますます望まれるようになっている. また, 経済の発展と科学技術の発達変化にともない高校教育も大幅に移り変わり, 医師の人材を供給する高校教育が変化している.
このような状況の下で, 多くの医学部では教育課程を6年間一貫として行い, 一般教育と基礎教育・専門教育の融合を図ろうとしつつある.
医学教育において生物学を専門の基礎科目として位置づけられるのは, 一般教育としての曖昧さを避けるための方策であってはならない.
一般教育の理念・目標は重要であり, 今後一層充実した形で実現されなければならない.
医学部の生物学として自立的学習の能力を身につけ, 基本的学問についての理解力を発展させることを求めて, 自然史を軸とした生物学を提唱する. これは自然界のありのままの姿のなかに, 自然界の秩序ある構成を探ろうとするものである.