抄録
現在シスプラチン (CDDP) /5-FU併用療法は消化器癌に対するfirst lineの治療法であるが, 最近, CDDPは10mg/day程度の少量連日投与が行われることが多い. これによる奏効率は胃癌で50%程度とかなり高く, 一方で腎障害をはじめとする副作用はごく軽度である. CDDP/5-FU併用療法におけるCDDPの作用機序は, 従来メチオニン代謝障害に伴う腫瘍内還元型葉酸の増加とされてきたが, 少量CDDP投与においてはこのような効果は確認できず, CDDPそのものの制癌効果や, 他のメカニズムによるモジュレーションを考慮する必要があると考えられた. 少量シスプラチン反復投与と5-FUの併用療法はその優れた効果とマイルドな副作用により, 今後は外来治療を中心として普及していくものと考える.