順天堂医学
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特集 都民公開講座「糖尿病と付き合う」
今日から始める歩行療法
形本 静夫
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1998 年 44 巻 3 号 p. 268-270

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抄録

運動は筋のインスリン感受性を増加させ, 血糖値の低下とインスリン必要量の減少を導く. 運動によるインスリンの感受性の増大は酸素摂取能力の増加と平行して起こることから, 糖尿病の予防と治療には有酸素運動が有効であると考えられる. 歩行はランニングと並ぶ代表的な有酸素運動で, しかも日常的な運動形態であるので誰にでも容易に実施できる. 歩行療法に必要な運動の強度 (各自の最大酸素摂取量の50-70%) と生活習慣病の予防が期待される運動量 (200-300kcal) は, 速歩で4km強歩けば満足することができる. 運動によるインスリン感受性の増加は短期間で消失するので, 週に4日以上歩くことが勧められる. また, 歩く効果を高め, 運動の安全と回復促進を図るために, 準備運動と整理運動を実施することを忘れてはならない.

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© 1998 順天堂医学会
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