順天堂医学
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原著
専門医療機関を受療するパーキンソン病患者のQOLに影響する要因の分析
山路 義生若松 弘之田久保 秀樹
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1999 年 45 巻 2 号 p. 227-239

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抄録

目的: パーキンソン病患者が個々の状況に応じた適切な支援を受けることは非常に困難である. QOLに影響を与える要因を分析し, 適切な支援の在り方を検討することを目的とした. 対象: 任意の1週間に, 都内大学病院脳神経内科外来を受診した再診患者と同期間に入院中の外来通院歴のある患者とした. 方法: 自記式アンケート調査を2種類のQOL評価尺度 (生活満足度尺度K, 神経難病患者QOL評価尺度) を用い実施し, その結果を重回帰分析にて解析した. 結果: 106名から回答を得て, QOLに影響する要因を検討した. その際, 患者の居住地域における保健・医療・福祉サービス等の関わりが注目された. 結論: その結果, 次の結論が得られた. 1) 神経難病患者QOL評価尺度に影響する要因として, 経過年数, 地域保健・医療・福祉サービスの利用数が挙げられた. 2) 生活満足度尺度Kに影響する要因として, 今回の調査の範囲では有意なものが指摘できなかった. 3) 専門医療機関と地域のかかりつけ医, 保健所との連携のシステム化を検討する必要がある. 今回の調査から, 比較的軽度のstage IIにおいてもQOLの向上には経過年数も考慮した対応が必要と考えられた.

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© 1999 順天堂医学会
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