順天堂医学
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第3回都民公開講座「アトピー性皮膚炎の原因と治療と予防」
アトピー性皮膚炎と食物
-特に小児領域において-
小口 学
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1999 年 45 巻 3 号 p. 361-364

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抄録
アトピー性皮膚炎における食物アレルギーの関与は, 乳幼児において特に重要である. 原因食品は, その頻度から, 鶏卵 (特に卵白) ・牛乳・大豆が3大食物抗原と呼ばれ, さらに小麦・米 (合わせて5大食物抗原) も関与することがある. 食物の関与を診断する方法として, 血液検査 (抗原特異的IgE抗体検査など), 皮膚反応, 食物負荷試験が医療機関において行われるが, これに加え, 食事内容と症状の変化の記録 (食物日誌) を詳細につけることが推奨される. 食物日誌は, 家庭で実行可能で, かつ診断・治療経過に関わる重要な情報をもたらしてくれる. 食物の関与が明らかな場合には, 原因食物の完全除去を基本とした食事療法が行われる. この際, 代替食品 (乳児の場合加水分解乳など) を見つけ, 栄養面の不足が起きないよう専門家の指導のもとに行うこと, 発育のチェックを行うこと, 症状の改善があれば, 適切な検査を行い, 不必要に長期の除去を行わないことなどに注意する. 一般に, 食物アレルギーは, 2-3歳までに軽減・消失することが多いが, その後, 気管支喘息を発症することも多く, 環境抗原に対する対策も合わせて行う必要がある.
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© 1999 順天堂医学会
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