抄録
目的: ペースメーカーシステム全体の寿命を規定する重要な因子である刺激閾値の経時的変化とペーシングリードの長期経過後の信頼性を検討すること.
対象および方法: 心室ペーシング453例 (男性262例・女性191例, 平均67歳) について, 急性期および慢性期における刺激閾値の推移ならびにペーシングリードの長期経過 (観察期間平均59.8ヵ月) 後の信頼性に関して検討した.
結果: (1) 急性期 (植込み時) の刺激閾値・心内R波高・リード抵抗は, 心室内伝導障害の1例を除き良好な値を示し, ステロイドリードと非ステロイドリードで差はなかった. (2) 亜急性期 (植込み1週間後) の出力3.5Vにおけるパルス幅閾値も良好で, 非ステロイドリードに比し有意にステロイドリードで低かった (P<0.05). (3) ジェネレーター交換施行104例の慢性期 (ジェネレーター交換時) 電気的特性の変化については, 慢性期の閾値上昇に伴い, 強さ-時間曲線は右上方へ偏位したが, Chronaxieは不変であった. (4) ペーシングリードに関連する合併症では, 断線15例 (3.3%), 離脱4例 (0.8%) など再手術を要する例が認められたが, 少数例であり, 長期経過は良好であった.
結論: 心室ペーシングにおける慢性期刺激閾値は, 急性期に比し, 上昇していたが, Chronaxieには有意差を認めず, 長期間安定していた. また, 再手術を要するリードに関連した合併症は少数であり, 心室ペーシングにおけるリードの長期信頼性も良好であった.