順天堂医学
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症例報告
ループス様症状を呈したヒトパルボウイルス-B19感染症の2例
大日方 薫
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2001 年 46 巻 3 号 p. 353-356

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抄録

ヒトパルボウイルス (HPV) -B19感染に伴ってループス様症状を呈し, 低補体血症や自己抗体産生など免疫学的検査異常を認めた2例を経験した. 症例1は35歳の女性. 発熱・多関節炎・レイノー症状, 体幹の発疹および顔面の蝶形紅斑があり, リンパ球減少・低補体血症・抗核抗体陽性を認めたため, SLEと診断された. 同時期に6歳の長女が伝染性紅斑に罹患したことからHPV-B19抗体を測定したところ, 母子ともにIgM抗体が上昇しており, HPV-B19特異的PCRによるゲノムDNAの検出が陽性であった. 症例2は13歳の女児. 顔面・四肢の紅斑, 多関節痛があり, リンパ球減少・血沈亢進・低補体血症・抗核抗体陽性を認め, SLEと診断された. 同胞2名が伝染性紅斑に罹患したことから, 患児のHPV抗体の検索を行ったところ, IgM抗体を検出した. これら2症例のループス様症状は短期間に消失し, 検査値も数ヵ月以内に正常となった. HPV-B19感染により自己免疫反応が誘導され, 一過性にループス様症状を呈した可能性が考えられた.

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