順天堂医学
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症例報告
急性膵炎に伴って発症したIDDMで, 非自己免疫性劇症1型糖尿病と考えられた1例
松永 肇藤田 綾小谷野 肇小沼 富男河盛 隆造芹沢 信子佐藤 信紘
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2003 年 48 巻 4 号 p. 516-519

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抄録
アルコール多飲による急性膵炎に伴って急激に発症した糖尿病で, 膵炎治癒後もインスリン依存状態を継続している症例を経験した. 本症例は, (1) 抗GAD抗体等の糖尿病関連各種自己抗体が陰性, (2) ケトアシドーシスを伴い, 急激に発症, (3) 発症時, 567mg/dlと著明な高血糖を認めたにも関わらず, HbAlcは5.6%と正常, (4) 尿中Cペプチド3μg/Dayと, 発症時既にインスリン分泌が枯渇, (5) 発症時, 血中アミラーゼ1282mg/dl, リパーゼ5815mg/dlと血中膵外分泌酵素が上昇, などの特徴を有した. さらに膵炎治癒後もインスリン自己分泌能は回復せず, 1年以上継続的にインスリン依存状態となっており, 非自己免疫性劇症1型糖尿病と考えられた.
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© 2003 順天堂医学会
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