2004 年 49 巻 4 号 p. 440-444
近年の高齢化社会の急速な進行の中で骨粗鬆症が注目されている. 特に女性は男性に比べ, 骨密度がもともと少ないうえ, 更年期以降, 卵巣機能の低下に伴い骨吸収が亢進し, 骨量の減少が起こることが知られている. 骨量が若年成人の平均値の7割以下に減ってしまった場合, 骨粗鬆症の診断となる. 症状は骨量が減ってしまっただけでは見られないことが多い. しかし, 骨量の減少に伴う腰椎の圧迫骨折をきたすと胸・腰背部痛や神経障害などの症状が出現する. また, 大腿骨頚部骨折では歩行困難となり, 寝たきりの誘因となる. 骨粗鬆症の診断は超音波やレントゲンを用いた骨量測定により行われる. また最近では, 骨形成, 骨吸収のバランスを尿検査などで評価することが可能となった. 骨粗霧症の予防は日頃からのカルシウムの摂取などの食事療法や継続的な運動などである. また, ホルモン補充療法やビスフォスフォネート製剤などにより骨折率を低下させることが可能である.