順天堂医学
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第12回都民公開講座「中高年を美しく若々しく過ごすために」
尿失禁・排尿障害
中田 真木
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2004 年 49 巻 4 号 p. 445-450

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抄録

中高年女性には, 尿失禁や頻尿などの排尿障害を抱えている人が少なくない. 排尿障害は生命にはかかわらないが日常生活を不自由にする理由にはなるので, 昨今の少子高齢化という社会基盤の変化を背景に健康問題として見直され, 医療上の課題と再認識されている. 膀胱と尿道は骨盤内に位置し, 女性では, 排卵・月経・妊娠・出産など内性器の営みによって代謝・血行・内分泌的な観点で長期間大きな影響を受け, 分娩では, 圧迫・牽引や損傷など物理的な外力の巻き添えになる. 排尿障害には男女に共通の背景もあるが, 女性の排尿障害には, 腹圧性尿失禁, 性器脱関連の排尿の不具合, 女性下部尿路症など泌尿器以外の骨盤内や骨盤底の問題から起こってくるものが多い. 中高年女性の排尿障害の予防には, まず骨盤底防護の立場から, 出産による骨盤底や排尿支配神経への後遺障害を減らし, 出産を経験した女性ではその後一生を通じ意識して骨盤底をいたわり鍛えるように務めるべきである. また, 最も患者数の多い腹圧性尿失禁を防止するためには, 日々の排尿習慣において自律神経の働き (膀胱知覚と排尿反射) を尊重し腹圧排尿を可及的に回避することも意味を持っている.

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© 2004 順天堂医学会
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