順天堂医学
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総説
高血圧による腎障害 (腎硬化症) の治療
堀越 哲富野 康日己
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2004 年 50 巻 3 号 p. 204-213

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抄録

高血圧症による腎障害の予後は悪くないとされてきた. しかしながら, 透析療法に至る末期腎不全の原因疾患として腎硬化症の頻度はわが国でも確実に増加している. その理由として高齢化社会や動脈硬化症の増加などが挙げられており, したがって, その治療にはまず他の生活習慣病と同様に, ライフスタイルの改善が必要となる. 薬物療法としては, 腎保護作用・蛋白尿減少効果のあるレニン・アンジオテンシン系抑制薬であるアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) がエビデンスに基づく治療薬として第一選択薬とされている. また最近, 利尿薬の効果が再認識され, この2剤 (あるいは3剤) を併用し血圧をコントロールしていくことが腎機能の予後を改善するためにも重要である. 一方, 高血圧症の経過中に腎動脈硬化による腎血管性高血圧を発症し, 急速に腎機能の悪化をもたらすことがある. この際には画像検査や血管形成術などによる診断・治療が必要になる. したがって, 高血圧症の治療には尿検査や血清クレアチニン値などの経過観察による腎障害の早期発見が重要である.

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© 2004 順天堂医学会
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