抄録
内部障害に対するリハビリテーションの重要性がわが国においても徐々に認知されつつある. 慢性の呼吸器疾患, 特にCOPD (慢性閉塞性肺疾患) は骨格筋の機能障害や低栄養など全身性疾患としての対応が必要となる病態であり, 呼吸困難の軽減, 運動耐容能の改善, 健康関連QOL・ADLの改善などの効果を有する呼吸リハビリテーションが, 標準的な治療法の1つとして提供される必要がある. これらの効果は, すでに薬物療法により症状が軽減している患者においても, さらに上乗せの改善効果として得ることができる. 長期的には, 効果の維持に加え, 入院回数・日数の減少, 重症化の予防や生存期間の延長が達成目標となるが, これらの効果に関するエビデンスは今後さらに検討される必要がある. 一方, 呼吸リハビリテーションは原則としてチーム医療であり, 包括的な呼吸リハビリテーションプログラムは, 呼吸理学療法/運動療法, 患者教育, 栄養指導より構成される. 順天堂医院では, チーム医療により呼吸リハビリテーションに取り組んでいるが, 多職種が関わる包括的なプログラムにすることで, より大きな改善効果を得ることができる. 今後, 呼吸リハビリテーションが, 包括的なプログラムとして広くわが国に普及し, 慢性呼吸器疾患の管理がさらに向上することを期待する.