筆者らは前報において,開発した水稲種子消毒装置は,穀温測定法に準じて測定した加熱直後の種子温度(以下,Tfin)を75±1°Cに設定することで,発芽率を維持したまま温湯浸漬法と同等以上の病害防除効果が得られることを明らかにした。そこで本報では,開発機でTfinを管理するプロセス制御の構築を目的に,モデル予測制御技術の開発,具体的には,開発機の運転状況からTfinを予測する回帰モデルを作成し,その精度を評価した。その結果,気流の湿度や加熱時間などの運転条件を説明変数とした重回帰モデルは,Tfin=66.0〜82.7°Cの予測範囲において,標準誤差0.5°C以内でTfinを予測できることを示した。これより,作成したモデルは装置の運転制御に活用できる見通しを得た。