抄録
国際疼痛学会は, 痛みを“実質的あるいは潜在的な組織損傷に起因するか, もしくは組織損傷から派生する不快な感覚的および情動的体験”であると定義している.
したがって, 痛みは個人によって様々であり, それを客観的に評価することは極めて難しい. しかし一方, 痛みを的確に評価することは, 治療法の選択や治療効果の判定にも有用である.
米国の臨床では, numerical rating scale (数値を示した尺度) を用いて痛みの有無や強弱を簡単に評価することが医師や看護師に薦められている.
しかし, 痛みの発現機序は様々であり, 決して一つの尺度で評価できるものではない. 簡単な尺度のみで痛みを評価するために, 痛みに対する治療法が麻薬のみに偏ってしまうという傾向が認められる.
痛みの評価では, その強弱のみではなく, その様式, 性質を正しく把握しないと, 適切な治療はできない.