抄録
目的: 上皮性卵巣癌は他の固形癌と異なり, 癌性腹膜炎などの進行例でも化学療法と手術療法の組み合わせにより一時的には寛解状態にできるが, 数年後に再発する症例が多い. 予後規定因子は, 進行病期分類, 組織型や分化度などの病理組織学的な評価によって規定されるものがあげられるが, 治療の反応性から見た報告は多様で統一見解はない. われわれは, 初回治療中の血清CA125の変化量と患者の予後との間に関係があるかを解析した.
対象と方法: 初回手術後にパクリタキセル, カルボプラチン療法 (Pac: 175mg/m2, CBD-CA: AUC5) を行った, 上皮性卵巣癌 (FOGO臨床進行期分類III. IV期) 症例で術前のCA125>35U/mlであった56名を対象とした.
解析は, CA125の検査開始日から検査日毎の値を追跡し, CA125が35U/ml以下に入った時点での検査値Aとその1時点前の検査値Bに対し, 変化量= (Log (B) -Log (A) ) / (正常値到達日と1時点前の検査日との間の日数) をとり, CA125が正常域にある月数の関係をPeasonの相関係数で求めた. 次に, 変化量の大小で2群に分類し, CA125が正常域にある月数に関してlog-rank検定を行い再検討した.
結果: CA125が正常化したのは56例中43例. 相関係数は0.40 (P<0.01) でCA125の変化量とCA125の正常域維持期間に相関を認めた. log-rank検定では, 43例の変化量を降順に並べ, 中央値を含む20-26位の値をカットオフとして2群に分け解析した. 24位をカットオフとした時の2群間で有意差 (P<0.05) を認めた.
結論: CA125が正常化する時点の変化量と, その後のCA125正常域維持期間との関係をPea-sonの相関係数およびlog-rank検定により分析した. これらに相関が認められ, 正常域に到達するCA125の変化量が大きい程, 予後良好であることが示唆された.