抄録
目的: 根治度A手術を施行したにもかかわらず, 予後不良であった結腸癌の特徴を検討するために, 深達度が漿膜下層までにとどまる (ss) 結腸癌の癌先進部における癌細胞核分裂数の面から検討した.
対象: 術後5年以内に癌死した予後不良例23例 (予後不良群) と術後5年以上生存が確認できた26例 (予後良好群) の2群
方法: 対象の2群に対し, (1) 臨床病理学的背景因子, (2) 腫瘍最大割面を表層・中層・深層の3層に分け, 各層の癌細胞核分裂数 (層別核分裂数), (3) 深層の中でも, 特に癌先進部における癌細胞核分裂数, (4) 術後経過年別の癌先進部癌細胞核分裂数, を比較検討した.
結果: 癌細胞核分裂数は浅層と比べ深層が, 予後良好群に比べ不良群が有意に高値を示した.
結語: 先進部癌細胞核分裂数の評価は簡便な方法で根治度A手術を施行した深達度ss結腸癌の予後不良予測に有用である可能性が示唆された.