順天堂医学
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原著
IgA腎症患者扁桃のToll-like receptor (TLR) 発現と扁桃摘出術・ステロイドパルス療法に関する検討
加納 達也鈴木 祐介鈴木 仁柘植 俊直堀越 哲富野 康日己
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2007 年 53 巻 1 号 p. 97-105

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抄録
目的: 近年, 扁桃摘出術とステロイドパルス療法の併用 (扁摘・パルス療法) により, IgA腎症の臨床および組織所見の改善を認める報告が相次ぎ, 患者の扁桃における免疫反応の特殊性が示唆されている. 扁桃の病態への関与を検討する目的で自然免疫について重要な働きをするToll-like receptor (TLR) の発現パターンおよび程度と扁摘・パルス療法の治療効果との相関を解析した. 対象: IgA腎症と診断され, 順天堂大学医学部附属順天堂医院 (当院) 耳鼻咽喉科で扁摘を受けた16症例を対象とした. そのうち, パルス療法3クールを完了したのは7例であった. 方法: 摘出した扁桃よりRNAを抽出してReal-time RT-PCRを行い, TLRや種々サイトカインの発現を観察した. 扁桃におけるTLR発現の局在を免疫染色で確認し, その程度により2群に分類した. この2群間で臨床効果 (蛋白尿, 血尿, 血清IgA値, 血清IgA/C3比) を比較検討した. 結果: 16症例中3例にTLR9の強い発現を認めた (High group). これらの症例はIFN-α・IFN-γの発現も強く, TLR9との間に有意な相関を認めた. 残りの症例 (Low group) では, 相関性を認めなかった. また, TLR9の発現は形質細胞様樹状細胞にほぼ一致していた. High groupでは, 明らかにTLR9陽性細胞数の増加を認めた. パルス療法完了の7例の内訳は, High group3例, Lowg roup4例であった. High groupでは治療後早期より効果を認め, 治療前後で比較すると, 蛋白尿・血尿が有意に改善した. また, 血清IgA値, 血清IgA/C3比も有意に低下した. 一方, Low groupでは改善・低下傾向が認められたが, 有意差は認めなかった. 結論: IgA腎症の発症. 進展には, 扁桃の形質細胞様樹状細胞に発現するTLR9を介した免疫機序が関与している可能性が示唆された.
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© 2007 順天堂医学会
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