順天堂医学
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原著
RhoAキナーゼ抑制薬の足細胞保護を介した半月体形成性腎炎に対する治療の有用性
日高 輝夫鈴木 祐介山下 倫史田中 裕一堀越 哲富野 康日己
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2007 年 53 巻 1 号 p. 106-112

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抄録
目的: 半月体形成は, 糸球体腎炎の予後因子として極めて重要な病理学的所見であり, 足細胞の障害がその形成に深く関っていることが報告されている. 一方, Small GTPaseは, 主に細胞骨格の調節を担っているだけでなく, 細胞間の接着・遊走などにも関与している. Small GTPaseの一つであるRhoAに対する抑制薬は, 血管攣縮の抑制薬として脳血管や循環器領域で研究・臨床応用がなされている. 近年, 足細胞とRhoAの関係が注目され, この抑制薬が糸球体腎炎の改善薬として期待されている. われわれは以前にFc receptor γ chain knock out [γ (-/-) ] マウスに対して異種性抗糸球体基底膜抗体を投与し, 馬杉腎炎を惹起することで, アンジオテンシンII (Ang II) 依存性の半月体形成性腎炎を誘導できることを示した. 今回, この腎炎モデルを用いて, RhoA kinase inhibitor“fasudil”の半月体形成に及ぼす効果を検討した. 対象と方法: γ (-/-) に無作為にfasudil治療群 (10mg/kgi. p. ) と未治療群の2群間に分けた. 両群にウサギより得た馬杉腎炎抗血清を静注し, 馬杉腎炎を惹起した. 2群間において尿検査 (蛋白, 潜血) を連日14日間測定し, 14日後に屠殺し腎臓および血清を採取した. また, 培養足細胞を用いAng II刺激下でのfasudilの治療効果を検証した. 結果: fasudil治療群では蛋白尿 (p<0.01), 血尿 (p<0.01) が有意に低値を示した. それと一致し, 糸球体半月体形成や硬化性病変は抑制され, さらにWT-1陽性足細胞数の減少も軽度であった (p<0.03). 培養足細胞では, 足細胞nephrinのmRNA発現がAng II濃度依存性に低下することが判明した. fasudilの治療は, それらの発現低下を有意に抑制していた. 結論: fasudilは, Ang II/RhoA kinase活性の抑制を介して足細胞障害を保護し, 半月体形成に対する治療効果を示すことが考えられた.
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© 2007 順天堂医学会
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