抄録
食中毒・消化器系感染症の中で, もっとも多くの原因を占めるウイルス性感染性腸炎について, 代表的な3つのウイルス, ノロウイルス, ロタウイルス, アデノウイルスをあげて, 症状, 感染経路, 潜伏期間と伝染可能期間, 診断, 治療, および感染対策のポイントについて詳細に記述しました. これらのウイルスはイムノクロマト法を用いた迅速診断法が確立されていますが, 感度が90%以上ないために, インフルエンザの迅速診断法と同様に診断見落としの恐れがあります. よって, 臨床医としての診断を確実に行い, 検査単独ではなく, 臨床症状を根拠に隔離の有無を判断すべきです. 診断後は隔離を行い, 標準予防策に則って, 接触感染予防策と飛沫感染予防策を併用します.