順天堂医学
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話題 脳卒中診療の最前線
東京都脳卒中急性期救急搬送体制と超急性期診療の実態
宮元 伸和
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2009 年 55 巻 4 号 p. 411-415

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抄録

脳卒中は現在でも死亡原因の第3位を占め, 寝たきりの最大の原因となっています. 血栓溶解療法が1995年米国で認可となり, 2005年に日本でも認可されました. 血栓溶解療法が発症3時間以内という制限があるため, 迅速な対応が要求されます. 実際の救急外来では6つの医療行為 (家族からの病歴聴取と治療の同意, 患者の診察と検査, 検査申し込みや病床確保などの諸手続き, 超音波検査, タイムキーパー, 全体の統括) が必要で, 現在, 血栓溶解療法にはマンパワーの豊富な急性期脳卒中診療専門施設への集約化が進んでいます. 結果, 脳梗塞発症から来院までの救急隊を含めた地域の医療連携がこれまで以上に重要となってきました. また, 時間的制約により血栓溶解療法が施行し得なかった理由としては患者, 家族が脳卒中発作の症例を認めないか, 認知しなかった事が報告されています.“Time is Brain”というような啓発活動をすることにより一層の受診率の向上が十分見込まれます. 東京都では2009年3月より東京都脳卒中急性期医療機関リストを作成し, 4月より本格的に運用となっています. その結果, 血栓溶解療法を受ける患者数は増加しました. 今後, 東京都脳卒中急性期医療機関リストが整備され, 発症後の時間がさらに血栓溶解療法の適応となる時間 (発症後2時間以内) に限局できれば, さらなる血栓溶解療法の適応となる患者は増加することが期待されます.

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© 2009 順天堂医学会
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