抄録
脳卒中はその名のとおり突然襲ってくる病気で, 患者さんやその家族を取り巻く環境を一変させる, 重症度の高い疾患といえます. 世界中で毎年500万人以上が脳卒中によって死亡しており, 悪性腫瘍や虚血性心疾患に次ぐ死因となっています. 年齢, 性別, 人種, 国を問わず深刻な障害をもたらす病気であり, 世界中で脳卒中に対する積極的な取り組みが行われています. 本邦においては寝たきり患者の原因の第1位が脳卒中であり, 超高齢化社会を迎えたわが国における脳卒中診療はますますその重要性が増しております. 日本人における脳卒中, 特に脳梗塞に関わる危険因子の重要性がさまざまな大規模臨床試実の結果から明らかにされています. また発症予防や再発予防を目的とした抗血小板薬や抗凝固薬が臨床の場で使用されており, それぞれの薬の特徴や使用方法についても多くの情報が得られるようになっています. 以前のように抗血小板薬を服用していれば良いという時代は過ぎさり, エビデンスを踏まえた臨床情報を上手に活用しながら, 個々に合わせたリスク管理や再発予防薬の使用を適切に行っていくことが重要です.