順天堂医学
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話題 脳卒中診療の最前線
脳卒中におけるMRI拡散テンソルtractography
錐体路の描出と定量的解析を中心に
青木 茂樹鈴木 通真下地 啓五中西 淳桑鶴 良平笹井 啓資
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2009 年 55 巻 4 号 p. 432-437

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抄録
MRIの拡散強調像は発症直後から10日前後までの梗塞巣を著明な高信号として描出でき, 超急性期の診断や, 亜急性期病変の同定に有用で, いまや日常診療に欠くことができないものとなっています. その拡散強調像を得る際には強い傾斜磁場を用い, その方向と脳白質の方向との関係により, 信号変化が生じます. 6方向以上の異なる傾斜磁場を用いた拡散強調像を用いて, その変化を拡散テンソル解析することにより, 脳白質の方向性を知り, その障害程度を定量的に評価することが出来ます. 方向をtracking (fiber tracking) することにより, 特定の白質路を抽出した拡散テンソルtrac-tographyが得られます. 定量値としては, 0から1までの値をとるFractional anisotropyがよく用いられます. 脳卒中への応用としては, 皮質脊髄路などの特定の白質路と病変との三次元的位置関係による予後予想, 病態解析, 白質変性の進展速度の解析などが報告されています.
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© 2009 順天堂医学会
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