順天堂医学
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話題 脳卒中診療の最前線
ここまで来た脳卒中の外科治療
血管内治療を中心に
大石 英則
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2009 年 55 巻 4 号 p. 426-431

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抄録
外科治療が奏功する脳卒中の代表的疾患には, くも膜下出血, アテローム血栓性脳梗塞, 一過性脳虚血発作などがあります. 近年, 脳血管内治療が, これら疾患に対して有効な治療手段として認められるようになってきました. とりわけ, 脳動脈瘤にプラチナコイルを充填して閉塞するコイリング術や頸動脈狭窄症に対してステントを用いて拡張を得るステント治療は, 標準的治療とされてきた開頭クリッピング術や頸動脈内膜剥離術などに代わり,“切らずに治したい”との患者からの希望も合わせて積極的に用いられるようになってきています. また頭蓋内動脈狭窄症や脳塞栓症などによる急性動脈閉塞は, 従来の内科および外科治療が必ずしも効果的でない場合も多く, 適応を正確に評価すれば脳血管内治療は, これら疾患に対しても良好な治療成績が期待できるようになってきています. 脳血管内治療は, 従来の開頭術やバイパス術などを中心とした外科治療に代わり得る低侵襲医療として重要な役割を持つようになっているだけではなく, DSA装置やカテーテルなどの機器器材の進歩と治療経験の蓄積によって, より安全かつ効果的な治療となることが期待されている領域なのです.
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© 2009 順天堂医学会
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