順天堂医学
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特集 第322回順天堂医学学術集会
臓器移植における免疫抑制
-免疫寛容への挑戦-
川原 敏靖
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2010 年 56 巻 4 号 p. 314-320

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抄録

免疫抑制剤の進歩により移植医療は世界に普及し, その成績は飛躍的に向上した. その発展に伴い, 次に問題になるのは免疫抑制剤の非特異的な免疫抑制による感染, 発癌, そして薬剤そのものの副作用である. したがって, 免疫抑制剤投与なしに移植臓器が生着し, さらに感染などに対しての通常の免疫機構が保たれている状態「免疫寛容」の誘導が移植後免疫抑制の最終目標である. 免疫寛容誘導の方法として, 骨髄移植によって誘導する中心性免疫寛容. そしてT細胞の副刺激抑制, あるいは制御性T細胞の誘導により引き起こす末梢性免疫寛容があり, 現在これらの研究が急速に進み, 臨床試験も行われている. 本項では, 筆者の今までの研究成果を交えながら, 臓器移植における免疫寛容の概要と今後の臨床応用の可能性について解説する.

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© 2010 順天堂医学会
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