順天堂医学
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原著
好中球コラゲナーゼ (MMP-8)
-基質特異性決定に重要な部位の検討-
菊地 健KAREN A.HASTY広瀬 友彦金子 和夫山内 裕雄
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2011 年 57 巻 5 号 p. 504-511

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抄録

目的: 関節炎や腫瘍, 心血管疾患など様々な病態において鍵となる蛋白分解酵素コラゲナーゼの基質特異性に重要な部位の解明を試みた. 方法: ヒト好中球コラゲナーゼ (MMP-8) と, 1次構造はきわめて類似しているがコラーゲン分解能をもたない酵素ストロメライシン (MMP-3) とに注目し, 野生型の好中球コラゲナーゼ (以下NC) のほか, ヒンジ部位をストロメライシン-1 (以下SL) に置き換えたもの (NC/SL/NC) ・ヘモペキシンドメイン全体を置き換えたもの (NC273/SL) ・ヘモペキシンドメインのC末端側4分の3を置き換えたもの (NC326/SL) の3つのキメラ酵素を分子生物学的手技を用いて産生・精製し, I型コラーゲンに対する結合能と分解能を野生型のそれと比較検討した. 結合能は, コラーゲン分子と, あらかじめコラゲナーゼでこれを3:1に切断したフラグメントを用い, 活性型・不活性型の各酵素に対して調べた. コラゲナーゼ活性は, 一般酵素活性としてゼラチンの分解能から酵素量を統一した後, 各キメラ間で比較した. 結果: 野生型NCは活性化を受けた後のみコラーゲン分子によく結合し, 切断されたフラグメントには結合しなかった. NC/SL/NCも類似の結合様式を示した. これに対しNC273/SL, NC326/SLは不活性型でもコラーゲンによく結合し, さらに切断フラグメントにも良好な結合性を示した. 一方, コラゲナーゼ活性はNC326/SLでよく保たれNC/SL/NCでも確認できたのに対し, NC273/SLではほとんどみられなかった. 結語: コラゲナーゼのコラーゲン切断部位に対する選択的結合および特異的酵素活性発現には, ヘモペキシンドメインの中でもそのN末端側が重要な役割を果たしていることが示唆された.

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© 2011 順天堂医学会
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