順天堂医学
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57 巻, 5 号
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目次
Contents
第28回都民公開講座《スポーツと健康》
  • 金子 和夫
    2011 年 57 巻 5 号 p. 449-455
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    日本は世界に誇る長寿国ですが, その平均寿命に, からだ (運動器) の寿命が追いついていません. つまり要介護になってからの期間が長く, いわゆる健康寿命とのギャップが生じています. 日本整形外科学会ではロコモティブ症候群を提唱し, 加齢とともにリスクが高まる病気に対して対策をとるように呼びかけています. 「ロコモティブシンドローム」 (運動器症候群) とは, 骨・関節・筋肉・腱・靱帯・神経・脊髄, 筋肉など運動器と呼ばれる器官の働きが衰えて「歩いたり」「立ったり」といった動作が困難になり, 要介護や寝たきりになってしまうこと, または, そのリスクが高い状態のことです. 略して“ロコモ”といいます. 個別の病気だけでなく, 全身の状態から要介護の可能性をチェックしなければ, 歳を重ねるごとにロコモティブ症候群になり, 寝たきりになってしまう可能性があるものなので, 早めに対策を始めることが大切です. ロコモの原因は, 主に3つあります. 「バランス能力の低下」「筋力の低下」, これらは転倒のリスクを高めます. さらに「骨や関節の病気」. なかでも骨がスカスカになる「骨粗鬆症」, 膝の関節軟骨がすり減る「変形性膝関節症」, 腰の神経が圧迫される「脊柱管狭窄症」が代表的な疾患です. 50歳を過ぎるとこれら疾患は急増します. 入院治療が必要なケースも多く, そのピークは70歳代です. 近年の研究で, こうした運動器の障害が, 要介護や寝たきりと深く関係していることがわかってきました. 要介護・要支援認定の30%以上は, 「関節の病気」や「転倒による骨折」が原因なのです. 現在, ロコモな方とその予備軍は, 全国に4,700万人いると推測されています. ロコモティブ症候群を早期にチェックする方法があります. 7つの項目からなるロコチェックであります. これらにあてはまる方は早期にロコモ体操を取り入れることによってロコモティブ症候群を軽減することが可能です.
  • -スポーツの理論を健康づくりへ-
    青木 和浩
    2011 年 57 巻 5 号 p. 456-461
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    スポーツや健康にかかわる様々な情報が容易に得られる現代において, 自身の身体やライフスタイルに応じたオーダーメイドの健康づくりを実践することが大切である. そのためには, 科学的根拠に基づいた適正な情報を判断し得ていく能力も必要と考えられる. 本稿では, スポーツ現場における様々な知見を社会へ還元するという主旨のもと, スポーツの理論を健康づくりへ応用した事例を紹介し, コーチング (スポーツ指導) の視点から, より実践的な体力や健康づくりについて提言したい. 体力要素には, 運動能力や健康に関する要因に分類され, 健康には心肺持久力・筋力・筋持久力・身体組成・柔軟性が重要であるといえる. 一般的に, 肥満に関する指標としてはBMI (Body MassIndex) が用いられることが多い. しかし, 体重だけの評価は, あくまでも目安である. 特にスポーツ選手達にとっては, 体重だけではなく, 身体組成という視点は非常に重要で筋力や体脂肪の関係を考えなければならない. このことはスポーツ選手以外の人々にとっても同様であり, 体脂肪について正しい理解をしていく必要がある. シェイプアップとは, 運動により体脂肪を減らし, 筋肉量を増やすことである. 近年の中高年者の体力レベルは年々向上傾向にあり, 有酸素運動だけではなく, より積極的な筋力トレーニングの実践も必要である. また, 近年では中高年者に対しての筋力トレーニングの効果などが明らかになっており, 加齢による筋肉量の減少に対し, 効果的なアプローチ方法であるといえる. また, シェイプアップを考える場合, 運動強度というものが重要である. 本稿では, 筆者が実験的に行った大学の授業例を報告し, 有酸素運動や筋力トレーニングの実践的な運動処方などについて提言したい.
  • 武井 正子
    2011 年 57 巻 5 号 p. 462-469
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    少子高齢化が進み, わが国の高齢化率は22.7%, 総人口に占める後期高齢者の割合は10.8%である. 今後の人口構成をみると, 人口減に加えて, 高齢化のさらなる進行が予測されており, 社会的・経済的な課題, 特に医療費や介護費の増大が危惧されている. 筆者は, 1989年 (平成元年) から全国老人クラブ連合会にかかわり, 老人クラブという組織を通して, 「高齢期の運動による健康づくり」を推進し, 高齢期にある人々が地域でともに支えあって, 元気で生きがいのある生活が送れることをめざしてきた. 全国各地の高齢者と語り合っていくなかで, 運動に無関心, あるいは, 関心があっても運動に参加する機会が作れない多くの高齢者に対して, どのような働きかけが有効であるかを模索してきた. 今回の都民公開講座では, 国の健康日本21やWHOの運動器の10年に触れながら, 老人クラブの「運動による健康づくり」の自主的な取り組みを紹介し, 高齢者が気軽に実践できる動きのレッスンを体験していただいた. 本稿では, 20年にわたる高齢者とのかかわりで得られた資料 (指導記録・意識調査・体力測定の分析, 転倒, 80歳以上の外出についてのモニター調査) をもとに高齢期の運動指導のポイントと留意事項についてまとめ, 最後に初心者向けのフェルデンクライスメソッドのレッスンを紹介した.
  • 森谷 敏夫
    2011 年 57 巻 5 号 p. 470-476
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    肥満は, 食べ過ぎ, 運動不足, 遺伝, 食事の偏り, 熱産生障害 (体温維持や食後のエネルギー燃焼低下), 自律神経機能の低下などが複雑にからみあった結果であると考えられます. ですから, 太る原因は人さまざまなのです. でも, この地球上の多くの人々は実際には飢餓と毎日戦っており, 「肥満」という文字は存在しないのです. 肥満が目立つのは機械文明が発達した国の飽食と運動不足社会だけといっても過言ではないでしょう. 日本も例外ではなく, 40歳以上の男性の二人に一人がメタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群) に罹っている可能性が強く示唆されているのが現状です. 戦後の激変した食環境, 運動不足環境が生み出した産物であると理解したほうが妥当なのです. 肥満はほとんどすべての生活習慣病 (糖尿病, 高血圧, 脳・心臓血管系疾患など) の温床になっています. ただこれらの生活習慣病と関係が深い肥満症, 高血圧症, 高脂血症, 糖尿病などの「死の四重奏」は病魔への序曲を音もなく奏でるので, 病気が発生するまでほとんど「無自覚, 無痛」なのです. 運動不足を意図的に再現した7日間のベッドレスト実験で, 骨格筋の糖取り込み能力やインスリン作用の低下が劇的に起こることが証明されました. 世界でも最も健康管理ができているNASAの宇宙飛行士が, 2週間の無重力飛行で超運動不足を強いられて地球に帰還すれば, 糖尿病患者よりも血糖コントロールが悪くなっているのは容易に理解できるでしょう. 筋肉はわれわれの体の約4割を占め, 糖質・脂質エネルギーを最も多量に使う“臓器”なのです. この“臓器”筋肉の収縮はインスリンとは別の細胞内シグナル伝達機構を介して, 糖輸送を活性化できるので, インスリン抵抗性の存在下においても, 運動により糖輸送は通常正常に機能します. また, 運動により記憶などをつかさどる海馬での脳由来神経栄養因子が増加することが明らかにされており, 学習能や記憶力の増加, 認知症の予防, 自律神経活動や脳諸機能の保全のみならず, IGF-1, インスリン, GLP-1などのホルモンを仲介してエネルギー代謝や食欲調節にも大きく関与している可能性が示唆されています. 「生涯現役, 死ぬまで元気」に生きるためには, それなりの努力が当然必要になってくるでしょう. 一生涯の習慣的な運動の継続や賢い食生活が肥満や生活習慣病の予防や豊かな老後への免罪符になるのです.
原著
  • 縄田 益之, 松下 雅和, 松平 蘭, 山田 浩史, 金田 和彦, 浅野 正直, 山中 健次郎, 村上 昭弘, 高崎 芳成
    2011 年 57 巻 5 号 p. 477-487
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    抗U1 RNP (ribonucleoprotein) 抗体は, snRNP (small nuclear RNP) の一つであるU1 RNPに対する自己抗体で, 厚生労働省特定疾患混合性結合組織病 (mixed connective tissue disease: MCTD) 調査研究班が提唱した診断基準において, 同抗体の存在はMCTDと診断する際の必須項目とされている. 抗U1 RNP抗体の対応抗原であるU1 RNPは核質に存在し, U1 RNAと9個のポリペプチド (70kDa, A, B/B', C, D, E, F, G) より構成され, このうち70kDa, AおよびC蛋白が主要エピトープであるとされている. MCTDは全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus: SLE), 多発性筋炎・皮膚筋炎 (polymyositis: PM, dermatomyositis: DM), 強皮症 (systemic sclelosis: SSc) の側面を併せもった病態であるが, 免疫学的には, これらとは異なった疾患であることが示唆されている. 本論文ではMCTD患者血清を用いて, 抗U1 RNP抗体が認識する対応抗原と臨床像に関する検討を行った. 当院に受診歴のある185例の患者を対象とした. recombinant 70-Kd, AおよびC蛋白質を抗原としたELISAs (enzyme linked immunosorbent assays: ELISAs) (P-ELISAs), さらにU1 RNAを追加したELISAs (C-ELISAs) および70-Kd, A蛋白にU1 RNAを結合させた抗原を用いた免疫沈降法でU1 RNP 70-KdおよびA蛋白とU1 RNAの結合により生じる立体構造を認識する抗U1 RNP抗体を検出した. その結果, 185例のうち免疫沈降法ではすべての血清がU1 RNP 70-Kd蛋白とU1 RNAの結合により生じる立体構造を認識することが示された. さらに13例ではP-ELISAsによる反応はみられなかったが, C-ELISAsでは反応がみられた. 陽性例の69%の症例はSLEの診断基準を満たしており, 抗二本鎖DNA抗体が有意に高値で中枢神経ループスの合併が高率であった. これらの結果から, U1 RNP 70-KdとA蛋白およびU1 RNAの結合により構成される立体構造を認識する抗U1 RNP抗体陽性例はMCTDの中でも異なった免疫異常を有する群であることが示唆された.
  • 高木 美幸, 淺沼 克彦, 谷田 以誠, 富野 康日己
    2011 年 57 巻 5 号 p. 488-493
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 糸球体足細胞 (ポドサイト) は, 糸球体基底膜を外側よりおおう高度に分化した細胞であり, ポドサイトが障害されると蛋白尿をきたし, その障害が高度な場合には糸球体硬化へと導かれる. Gamma aminobutyric acid A receptor associated protein (GABARAP) は, 神経細胞内のGABAAレセプターと相互作用のある蛋白として知られている. また, GABARAPはオートファジー関連蛋白 (Atg) であるmicrotubule-associated protein 1 light chain 3 (LC3) のホモログとしても報告されている. 以前われわれは, ポドサイト障害の回復過程でLC3が上昇しており, ポドサイトのリモデリングにオートファジーがかかわっている可能性を報告した. GABARAPは, LC3と同じAtg8のホモログであるが, 腎臓におけるその役割はいまだ報告されていない. 今回われわれは, green fluorescent protein (GFP) を標識マーカーとしたGABARAPトランスジェニックマウス (Tgマウス) を作製し, その観察を通してポドサイトにおけるGABARAPの役割を検討した. 対象と方法: CAGプロモーターを使用して, 全身にGFP-GABARAPを発現させたTgマウスを作製し, 表現型の観察および組織学的検討を行った. 結果: 腎・心・肝・脳・脾を用いたウエスタンブロッティングでは, 各臓器にGFP-GABARAPの発現を認めた. 腎糸球体におけるGFP-GABARAPの局在は, 蛍光抗体法により, ポドサイトに認められた. 生後から30週までの蛋白尿の観察では, 野生型マウスに比べTgマウスで有意なアルブミン尿の増加が認められた. さらに腎組織の変化を観察したところ, 光学顕微鏡レベルでは明らかな差は認めなかったが, Tgマウスにおいて, 電子顕微鏡レベルでポドサイトの一部に足突起の消失 (foot process effacement) を認め, ポドサイト障害が確認された. さらに, Tgマウスでは, 野生型マウスに比べ血圧の上昇が認められた. 結語: GFP-GABARAP Tgマウスの検討により, GABARAPがポドサイト障害と関連していることが示された.
  • 金 京勲, 伊藤 輝代, 平松 啓一
    2011 年 57 巻 5 号 p. 494-503
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    バンコマイシン感受性が最小発育阻止濃度4-8mg/lと低下し, バンコマイシン治療に抵抗を示す菌Vancomycin-intermediate S. aureus (VISA) が世界各地で出現している. われわれは世界11ヵ国よりこれまでに分離されたVISA 46株の分子遺伝学的解析を行った. 検討したVISA株中, MRSAは43株, Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA) は3株であった. VISAクローンとしては, 以下の9クローンが見出された: CC (clonal complex) 5-typeII SCCmec (19株), CC8-typeIII SCCmec (10株), CC8-typeI SCCmec (6株), CC8-typeIVd SCCmec (3株), CC30-typeII SCCmec (2株), CC45-typeII SCCmec (2株), CC8-typeII SCCmec (1株), CC5 (2株), CC8 (1株). 供試菌株のコアグラーゼ型, agr型はMLSTとよく相関した. 本研究では, protein A分子内のspa typeとIgG結合領域の相関を検討し, IgG結合領域の構造はMLSTとよく一致することを確認した. またその過程で同一のCCに属する場合でもIgG結合領域のユニット数に違いがあるのを見出した. これを適用する形で, 本研究では, さらに4ヵ国から分離されたCC5-typeII SCCmec株 (19株) を検討して, Pulsed Field Gel electrophoresis (PFGE), Protein A, 毒素性ショック症候群毒素遺伝子 (tst) の保有を合わせて検討を比較した. その結果, PFGE のbanding pattern, spaタイプがまったく同じでtst遺伝子を保持しないST5クローン5株, ST105クローン2株が見出され, 米国内での同一クローンの伝播が示唆された. 一方, 米国分離株とほかのアジア諸国の分離株を比較した場合, protein AのIgG結合領域の長さ, およびtst遺伝子の保有の有無に大きな違いがあり, アジアで分離された3株でも, spaタイプが違っていた. これらの結果から, ある特定のVISA株が4ヵ国に蔓延したのではなく, それぞれの国で病院に蔓延していたMRSAが別個にVISAに変化したことが推察された.
  • -基質特異性決定に重要な部位の検討-
    菊地 健, KAREN A.HASTY, 広瀬 友彦, 金子 和夫, 山内 裕雄
    2011 年 57 巻 5 号 p. 504-511
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 関節炎や腫瘍, 心血管疾患など様々な病態において鍵となる蛋白分解酵素コラゲナーゼの基質特異性に重要な部位の解明を試みた. 方法: ヒト好中球コラゲナーゼ (MMP-8) と, 1次構造はきわめて類似しているがコラーゲン分解能をもたない酵素ストロメライシン (MMP-3) とに注目し, 野生型の好中球コラゲナーゼ (以下NC) のほか, ヒンジ部位をストロメライシン-1 (以下SL) に置き換えたもの (NC/SL/NC) ・ヘモペキシンドメイン全体を置き換えたもの (NC273/SL) ・ヘモペキシンドメインのC末端側4分の3を置き換えたもの (NC326/SL) の3つのキメラ酵素を分子生物学的手技を用いて産生・精製し, I型コラーゲンに対する結合能と分解能を野生型のそれと比較検討した. 結合能は, コラーゲン分子と, あらかじめコラゲナーゼでこれを3:1に切断したフラグメントを用い, 活性型・不活性型の各酵素に対して調べた. コラゲナーゼ活性は, 一般酵素活性としてゼラチンの分解能から酵素量を統一した後, 各キメラ間で比較した. 結果: 野生型NCは活性化を受けた後のみコラーゲン分子によく結合し, 切断されたフラグメントには結合しなかった. NC/SL/NCも類似の結合様式を示した. これに対しNC273/SL, NC326/SLは不活性型でもコラーゲンによく結合し, さらに切断フラグメントにも良好な結合性を示した. 一方, コラゲナーゼ活性はNC326/SLでよく保たれNC/SL/NCでも確認できたのに対し, NC273/SLではほとんどみられなかった. 結語: コラゲナーゼのコラーゲン切断部位に対する選択的結合および特異的酵素活性発現には, ヘモペキシンドメインの中でもそのN末端側が重要な役割を果たしていることが示唆された.
  • 新井 貴博
    2011 年 57 巻 5 号 p. 512-520
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    目的: 従来, 水音, 冷水, 特定空間 (たとえば電車の中) などの, 聴覚, 触覚, 視覚刺激により, 尿意切迫感が起こることがあることは経験的に知られていた. 本研究では, 過活動膀胱 (overactive bladder: OBA) 患者を対象に, 聴覚刺激 (水音) が尿意に及ぼす影響を, 自覚症状と膀胱内圧測定により明らかにすることを目的とした. 対象: 2009年6月から2010年12月までの間に順天堂医院を受診した患者で, 尿意切迫感を訴え, OBAの症状診断基準を満たす57例を対象とした. 方法: 被験群50例では刺激のない状態と聴覚刺激下の2回, 対照群7例では刺激のない状態で2回, それぞれ膀胱内圧測定を施行し, 初発尿意時膀胱容量 (volume at FDV without auditory stimulation: vFDVa-), 最大尿意時膀胱容量 (volume at MDV without auditory stimulation: vMDVa-), 初発尿意時から最大尿意時までの時間 (time to urgency: tURG) を測定した. 聴覚, 触覚, 視覚刺激による症状誘発の有無について問診し, 過活動膀胱症状スコア (Overactive bladder symptomscore: OABSS), 国際前立腺症状スコア (International prostate symptom score: IPSS) は, 質問票により回答を得た. 結果: 被験群の26%が水音による尿意切迫感を覚えると回答した. また膀胱内圧測定では, 被験群で, 聴覚刺激 (水音) 下でのvFDVa-, vMDVa-, tUGRが, 刺激のない状態と比べて有意に減少していた. 水音によるtURGの変化率は, 被験群の74%で減少し, vFDVa-およびIPSSと強い相関を認めた. 結語: OABでは, 聴覚刺激 (水音) により尿意切迫感を覚える例が, 一般人口を対象とした報告に比べて多くみられた. また膀胱内圧測定で, 聴覚刺激 (水音) によりtURGの減少を認めることが, OABの有用なsurrogate markerとなるか, 今後検討が必要と考えられた.
症例報告
  • 須郷 広之, 川崎 誠治, 石崎 陽一, 今村 宏, 吉本 次郎, 藤原 典子, 森岡 研介, 北里 憲司郎, 徳川 友彦, 中山 昇, 杉 ...
    2011 年 57 巻 5 号 p. 525-529
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/11/11
    ジャーナル フリー
    2010年7月の臓器移植法の改正に併せ, 全国13施設であった脳死肝移植実施施設に, 順天堂医院を含め新たに8施設が追加認定された. 当院初で全国私立大学病院でも初となる脳死肝移植術を経験した. 症例は53歳男性. 劇症肝炎の診断で登録後, 脳死臓器提供があり全肝移植を実施した. 術後, 深在性真菌症の合併を認めたが, 抗真菌剤の多剤併用投与で軽快した. 今回, 脳死肝移植の実施にあたり病院の理解と協力のもと, 円滑に実施することが可能であった.
抄録
症例に学ぶ
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編集後記
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