抄録
目的: 診療放射線技師の臨床実習において, ポートフォリオ評価が実習指導に有効な教育手段となるかどうか検討する.
対象: 対象は, 診療放射線技師の臨床実習を受けた専門学校2年生73名である. 内訳は, ポートフォリオ評価を経験した35名 (以下, 「ポートフォリオ群」) およびポートフォリオ評価の経験のない38名 (以下, 「非ポートフォリオ群」) である.
方法: 両群とも2年次に実習オリエンテーション後に臨床実習に入った. 実習後に到達目標達成度の自己評価, 臨床実習後の国家試験に準ずる多肢選択試験, 臨床実習指導者の実習評価を指標に, 両群を比較した. ポートフォリオ群は, 臨床実習前に「ポートフォリオ導入教育」を受け, 臨床実習後に「ポートフォリオ評価の受け止め方」についてアンケート調査を行った.
結果: ポートフォリオ群では, 多肢選択試験の成績および到達目標達成度の自己評価が非ポートフォリオ群と比較して高かった. 臨床実習指導者による実習評価では群間差をみるまでには至らなかった. ポートフォリオ評価を好意的に受容する学生が多かった.
結語: 診療放射線技師の臨床実習でポートフォリオ評価を導入することは, 優れた学習効果をもたらすことが示唆された.