目的: 混合性結合組織病 (MCTD) 診断時のステロイド治療介入による, 続発病態の抑制効果を病歴調査で評価する.
方法: 順天堂大学のMCTD87人 (総観察1,148人年) を, [0] 初期プレドニゾロン (PSL) 治療なし (16人), [L] 低用量<20mg/日 (中央値10mg/日, 32人), [H] 高用量≧20mg/日 (中央値36mg/日, 39人) に分け, 続発病態の時系列をKaplan-Meier (K-M) 分析した.
結果: 診断時のSLEDAI値 (SLE活動度スコア) は, [0] 3.2±2.1 (n=16), [L] 4.8±2.3 (n=32), [H] 4.3±3.1 (n=39) で群間差はなかった (t検定). 臓器障害「筋炎または進行性間質性肺炎 (筋炎/IP), 髄膜炎, 肺高血圧症」を伴った人数比は, [0] 0/16, 0/16, 1/16 [, L] 4/32, 3/32, 1/32 [, H] 9/39, 3/39, 2/39, であった. 臓器障害は治療対象となり, 筋炎/IPの多くが高用量で治療された. 要治療病態の続発はK-M分析上 [0] 群のみに高率であり (p=0.018, Log rank test), [L] [H] 群には筋炎/IPの続発がまれだった (p=0.033). 続発病態を生じたときの治療量は, [L] 群に比べ [0] 群で高用量を要した (PSL: 31.6±2.9 mg, n=5vs 49.0±12.4mg, n=10, p=0.016). 3病年以降に要治療病態が続発しないK-M比率は, 初期3年での再発有無に関係なく75%と高かった.
結論: MCTD と診断された場合には, 診断時の症状の程度にかかわらずステロイド治療介入を行ったほうが, 続発病態を軽減しうる. 低用量でも抑制され, 続発病態をみてから介入するよりも治療用量を減らせる可能性があった.
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