視線情報を用いた拡散的思考タスクにおけるパフォーマンス推定に関する研究

抄録

創造性研究において、アイデア創造の柔軟性を阻害する固着などの現象が知られる．現状，これらの阻害要因の検知や解消は，属人的スキルや技法に依存している．本論文では，視線情報を用いた阻害要因の検知を目的とした仮説検証を報告する．具体的には，拡散的思考タスクにおいて，自身の既出アイデアへの視線滞留時間の長さが，アイデア創造の柔軟性を低下させるかどうかの仮説検証実験を実施した．実験の結果，アイデアへの滞留時間の長さと柔軟性の間に有意な関連は確認できなかった．他の特徴的な結果として，瞬目率と柔軟性との間には3次回帰の関連が見られ，先行研究と類似する結果が見られた．