人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第33回 (2019)
選択された号の論文の735件中1~50を表示しています
  • 津本 周作, 越仲 孝文, 大澤 幸生
    p. 1-3
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    第33回全国大会巻頭言ならびに大会委員リスト
  • 三村 喬生, 中村 友昭, 松本 惇平, 西条 寿夫, 須原 哲也, 持橋 大地, 南本 敬史
    セッションID: 1C4-J-3-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    非ヒト霊長類など社会集団を構成する動物種においても広く観察される視線・表情・姿勢・動作などの身体表現を用いた非言語表現は、社会的コミュニケーションの本質的要素を成していると考えられるが、有効な定量解析技術がなく、コミュニケーションダイナミクスの理解において課題となっている。本研究では、身体表現を高解像度かつ汎用的に解析する手法の開発および実装として、小型霊長類コモン・マーモセットの典型的な摂餌行動を対象とし、ログデータを取得と身体動作時系列の分節推移構造推定を行った。データ取得には深度カメラとオ ブジェクト検出器を組み合わせた新規のマーカーレス・3 次元 モーショントラック技術を開発・実装し身体部位のトラッキン グ情報を抽出した。分節推移構造の推定には、ガウス過程の導入により多次元連続量を取り扱える拡張を施した隠れセミマルコフモデルを用いた。結果、マーモセット行動エソグラムの高解像度な分離を得たことから、提案手法は疾患モデル動物の病態評価など幅広い応用が期待される。

  • 蛭田 興明, 梁木 俊冴, 高屋 英知, 伊藤 千輝, 荒牧 大樹, 稲垣 隆雄, 山岸 典生, 栗原 聡
    セッションID: 1C4-J-3-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    近年,IoTやセンサ技術の発展により,多様な時系列データをリアルタイムで取得可能な時代となっている.現在得られるデータは,変数の種類が単一ではなく,二種類以上のデータが得られる場合が殆どである.このとき,各変数の関連性を特徴抽出することで,より有効性の高い分析手法の確立が求められている. 本研究では,3つの同じ時間軸で異なる次元を持つ時系列変数を光の三原色であるRGBに見立て色変化画像とし,畳み込みニューラルネットワークを適用する.これにより,色の視覚刺激の活用により変数間の関連性を最大限抽出可能なデータ分析手法を提案する.我々人間はRGBを一つの色として認識できるが,計算機で処理する場合は,RGB独自に処理されてしまう.そこで,計算機でも人のようにRGBを取り扱うために,RGBを基軸にしたXYZ,Lab色空間を利用した画像変換を行うことで,より効果的な特徴抽出を行うことを目指す.実験の結果,既存分類手法との精度比較を行い,提案手法の有効性を示すことができた. また,多様な色相空間で時系列を変換することで.各変数を独立として処理する場合よりも高性能な特徴抽出を実現できる可能性が示唆された.

  • 山崎 俊彦, 大渕 友暉, 林 遠, 北垣 亮馬, 鳥海 哲史, 林 幹久, 酒井 藍, 芳賀 宣仁, 野村 眞平, 池本 洋一
    セッションID: 1D2-OS-10a-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    我々が従来より開発している住心地評価・可視化用IoTセンサを用いて、断熱・防音性能解析のための手法と実測例を示した。さらに、新たに追加したPM2.5の計測結果を示した。現在実証のための大規模実験を実施中で、近い将来の実用化を目指している。

  • 諏訪 博彦, 大坪 淳, 中村 優吾, 野口 真史
    セッションID: 1D2-OS-10a-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    賃貸物件を検索する際には,賃料,広さ,駅までの時間,築年数などの情報が使用される.これらの指標は定量的データであり,比較することができる.しかしながら,備考欄のコメントに記載されているような「閑静な住宅街」や「日当たり良好」などの条件は,各物件の表示にあいまいさがあるため,比較が困難である.そのため,騒音や日当たりを定量的に評価できる指標が求められている.指標化には,これらを表すデータを収集する必要があるが,ターゲットが空き物件であるため,データ収集に既存の電力やインターネットを使用することができない.そのため,コンセントから電力を供給することなく環境情報を検知することが可能なIoT機器を構築する必要がある.本稿では,空き物件には電気がないこと,インターネットがないことを制約とした環境情報センシング装置を開発した.不動産業者の協力による実証実験の結果,提案装置がデータを収集できる可能性を示した.

  • 塚原 朋也, 須藤 広大
    セッションID: 1D2-OS-10a-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    不動産業界において、深層学習の活用により業務におけるコ スト削減を図りたいというニーズがあり、大東建託株式会社向け に不動産画像の分類システム(物件写真自動掲載システムと呼 ぶ)を構築し、ビジネス適用に至った。

  • 菊池 圭祐, 小林 賢一郎, 橋本 武彦, 高間 康史
    セッションID: 1D2-OS-10a-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本稿では, 居住候補地発見支援のための鉄道経路探索システムを提案する. ユーザが居住地を選択する際には, 最寄り駅から勤務地や学校などの⽬的地までのアクセスの良さが, ⼤きな決定要因となっている. しかし, ⼀般に普及している路線検索システムは,出発地・⽬的地間の経路を求めることを⽬的としているため, 居住候補地の探索には適していない. 提案⼿法では, 朝の通勤時間を想定し,列⾞種別も考慮して路線ネットワークを構築する. ユーザが設定した⽬的地までの所要時間と乗換回数の上限に基づいて,到達可能な全ての駅および使⽤路線を検索する. 本稿では検索アルゴリズムの概要と,不動産会社の営業担当者にプロトタイプを使用してもらった結果を示す.

  • 服部 凌典, 岡本 一志, 柴田 淳司
    セッションID: 1D2-OS-10a-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本研究では,間取り図を用いた賃料の線形回帰モデル構築し,間取り図を用いない線形回帰モデルと予測精度を比較することで,間取り図の活用が賃料予測に与える影響を明らかにする.東京都の賃貸物件9万件を利用した賃料予測実験より,間取り図にPCAを適用した線形回帰モデルが間取り図を利用しない線形回帰モデルよりも予測精度(RMSE)が高い傾向にあり,間取り図の利用が賃料の予測精度の向上に寄与することを確認している.また,予測精度の観点から,間取り図からの特徴抽出にはVGG16ベースのニューラルネットワークよりもPCAの適用が望ましいことも示している.

  • 高橋 佑典
    セッションID: 1D3-OS-10b-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    住宅価格の分析を行った従来の研究では,モデルの推計価格に対して明確な説明が可能なことから,多くが線形モデルとして推計している.しかし,専有面積や築年数などでは,住宅価格に与える影響が区間で異なり,非線形性を持つことが知られている.また,線形モデルの課題として,築年数と建築年代といった多重共線性を持つ説明変数を同時に投入すると,モデルの推計値が不安定になることが挙げられる.一方,線形モデルの課題に対処するため,非線形性を考慮した推計が行われている.しかし,非線形モデルを扱う課題として,モデルが複雑になり説明性や再現性が低下することが考えられる. 本研究では,これらの線形モデルと非線形モデルの課題に対処し,住宅価格推計時の説明性と推計精度の向上を目的として,モデルを2段階に分けた場合の戸建住宅における取引価格の推計を行った.結果として以下のことがわかった.1つ目は非線形性をうまく表現できる手法として,決定木と勾配ブースティングを組み合わせた手法が有効であること.2つ目は戸建住宅の価格を決める主要な要因の非線形性を考慮し,推計精度の向上が見込めることである.

  • 渡邊 隼史, 一藤 裕, 鈴木 雅人, 山下 智志
    セッションID: 1D3-OS-10b-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    アパートローンは,賃貸物件に関するローンであり,銀行が貸出す全与信額の10%を超える巨大な融資であるにもかかわらず,これまで空室データベース等の不足により国内では十分な精度のリスク計量化モデルが考案されてこなかった.そこで,現在,アパートローンリスク計量モデル構築の予備研究として,不動産鑑定士による現地調査データとWeb不動産情報サイトデータという2つのデータについて入退去の観点でプロジェクト研究を行っている.前学会では,前処理法や2つのデータの統計特性の類似性を確認しWebデータの目的への利用可能性を示した.今学会では,「空室が埋まる期間(空室期間)」の性質をより詳細にデータ解析し,それに基づき空室期間と物件特性に関する簡単な確率モデルを構築した.結果(1)空室期間は幾何分布の特性で近似できる(2)空室期間は非線形考慮した混合幾何回帰モデルを用いて記述すると,その回帰係数は大まかには常識とは外れない(3)モデル等の解析ににより,空室期間変動を「Webで観測できる物件特性効果」,「非観測の物件特性効果」,「物件特性外のランダム効果」の変動の割合にそれぞれわけて見積もれる可能性を示した.

  • 清田 陽司, 椎橋 怜史, 二宮 健, 横山 貴央, 塙 拓朗, 衛藤 剛史, 横山 明子, 菊地 慧, 小林 武蔵, 亀田 朱音, 瀧川 ...
    セッションID: 1D3-OS-10b-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本発表では、人工知能(AI)技術によって不動産分野のユーザーエクスペリエンス(UX)を革新する試みについて述べる.(1) 不動産物件写真にディープラーニングを適用することにより,物件写真への自動アノテーションの実装と、「街頭にスマートフォンのカメラをかざすだけで物件を検索する」という新しいUX創出を実現した.(2) 適正な価格の推定が難しいという不動産売買取引におけるUXの問題に対して、機械学習による参考価格算出アルゴリズムにより、日本全国のマンションの参考価格を地図上に提示するサービスを開発した.

  • 金丸 竣樹, 横田 悠右, 成瀬 康, 矢入 郁子
    セッションID: 1D4-J-1-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    近年,脳科学の分野では、fMRI計測によって恐怖の交感神経活動に関する脳内ネットワークが明らかとなったと報告されている.しかし,日常的な状況下でのfMRI計測は困難である.日常的な状況下で脳波計を用いて簡易的かつリアルタイム性高く人の恐怖を検出できれば,客観的な恐怖の指標を用いてエンターテイメント分野での恐怖の制御,医療サービスなどでの恐怖の低減といった実応用が可能となる.  本稿では乾式の脳波計を用いて,VRホラーゲームを用いた実験とホラー映像を用いた実験の二つから,周波数解析を用いて恐怖時と非恐怖時の脳波データの特徴を周波数帯域毎に分析した.その結果,アルファ波の恐怖時と非恐怖時のパワースペクトル密度に有意な差が見られました.

  • 千葉 晃一, 横田 悠右, 成瀬 康, 矢入 郁子
    セッションID: 1D4-J-1-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本稿では,体性感覚刺激によって誘発される体性感覚誘発電位を作業負荷の推定指標とする手法を解明することが目的である.脳内の作業負荷をリアルタイムにAIシステムが推定することによって,システムが適度な緊張感を維持させることで人の集中度を高める。また,集中度が切れた時に対話による介入を行うことで人の誤判断を防止するなど,システムと人とのインタラクションの質が大いに高められる可能性がある.  私たちは,10名の健常な被験者を対象に,体性感覚刺激としての電流刺激を呈示しつつ,N-backタスク実行中の脳の活動を測定,分析を行った.その結果,体性感覚誘発電位の成分の一つであるN9で,0-1back,0-2back,1-2backのすべてにおいて振幅の変調が見られた.また,各タスクのN9にタスク間でt検定を行い、有意差が見られた.なお,p値の補正にはBonferroni法を用いた.よって,今回の結果から,体性感覚誘発電位を作業負荷の推定指標とする手法の実現可能性を示せたと考えられる.

  • 寺島 裕貴, 塚野 浩明, 古川 茂人
    セッションID: 1D4-J-1-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    マウス大脳皮質聴覚野の機能的領野分けには広い合意がない.過去の領野分け研究には,合成音に限定した音刺激の使用,また,研究者の仮説を基にした音響特徴量の事前絞り込み,という2つの問題があった.本研究では,この2つの問題を解決するため,自然音に似た複雑音に対する聴覚野活動を広域計測し,音響特徴量に関する仮説を用意せずに機械学習技術を用いた領域分割を試みた.165種の複雑音に対する活動をカルシウムイメージングし,ヒトfMRI信号向けに提案された行列分解手法を用いて5つのコンポーネントに分解した.トノトピーとの比較,音響特徴量による回帰,音カテゴリとの比較の結果,過去に提案されたAAF, A1, A2, DA, DM, DPに相当する領域が確認され,さらに,DAの外側にも潜在的な新領域候補が発見された.

  • 大和 祐介, 鈴木 麗璽, 有田 隆也
    セッションID: 1D4-J-1-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    人間は,特定の知識が自分の記憶に存在するかどうか,あるいはどれだけ正確に存在するかを認知する事が出来る.このような主観的な記憶に対する認知能力はメタ記憶と呼ばれる.Hamptonは遅延見合わせ課題を用いてサルが回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準を満たすことを示した.しかし,これらのパラダイムはメタ記憶の判断を被験者の主観による報告ではなく,振舞いによって行っている.回避応答パラダイムにおいては,特定の刺激と回避行動を関連付けて覚えて難しい課題を回避することでメタ記憶判断の基準を満たし得ることが指摘されている.本研究の目的は,構成論的アプローチによって,メタ記憶能力を持つニューラルネットワークを進化させることである. 最初に,回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準とメタ記憶を持つニューラルネットワークの最小要件の基準を明確にする.次に,遅延見合わせ課題によって進化したニューラルネットワークに対してメタ記憶の基準を軸に分析を行う.メタ記憶の基準を満たすニューラルネットワークの動作メカニズムを追求することで,ネットワークのメタ記憶的判断のメカニズムを明らかにした.

  • 越村 三幸, 佐藤 健
    セッションID: 1E2-OS-3a-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    解を一つも持たない制約集合のMSS(Maximal Satisfiable Subset)あるいは MCS(Minimal Correction Subset)を求めることは,人工知能の様々な分野で 重要とされている.本稿では,SATソルバーを利用したMCSの列挙を論ずる. 同様の研究は多くあるが,我々は,効率性の点でそれらを上回る 列挙手続きの提案と実装を目的としている. 本稿ではその基本手続きを示し,その実装の性能を現時点で最高性能を示していると思われ るEnum-ELS-RMR-Cacheと比較した. この結果,提案手法はPMSに対しては優位であったが,MSに対しては劣っていることが分かった.

  • 宋 剛秀, Le Berre Daniel, 番原 睦則, 田村 直之
    セッションID: 1E2-OS-3a-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    制約充足問題 (CSP) は, 与えられた制約を全て充足する値割当てを求める問 題である. CSP には, 人工知能およびオペレーションズ・リサーチにおける幅 広い応用がある. XCSP3 は, CSP を記述できる主要な制約言語の1つであり, 105種類2万3千問を超える問題例が XCSP3 のデータベースから利用可能である. また2018年には, XCSP3ソルバーの国際競技会が開催されており, 18 のソルバー が参加した. 本論文では, 現在開発中の CSP ソルバー sCOP とその2018年XCSP3競技会の結 果について述べる. sCOP はSAT型ソルバーであり, CSP をSAT問題へと符号化 し, SATソルバーを用いて解を求める. 現在, sCOP では順序符号化と対数符号 化を利用することができ, 最新の SAT ソルバーをバックエンドに利用可能で ある. 2018年XCSP3競技会において, sCOP はCSP・スタンダード・逐次部門と CSP・スタンダード・並列部門の2部門に参加登録し, その両部門で優勝した.

  • 小島 世大, 石槫 隼人, 坂田 美和, 武藤 敦子, 森山 甲一, 犬塚 信博
    セッションID: 1E2-OS-3a-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    近年ICカードの普及に伴い、ICカートのログデータを用いた人の行動分析に関する研究がされている。本研究では、非負値多重行列因子分解 (Non-negative Multiple Matrix Factorization,NMMF)を用いたユーザの行動パターンを抽出し、因子行列を用いたクラスタリングし、クラスタリング結果を用いて決定木学習によるパターンと属性情報の関係を分析する手法を提案する。最後に、我々は提案手法を用いて入退室データの分析を行い、その有効性を確認する。

  • 佐藤 柾史, 上田 和紀
    セッションID: 1E3-OS-3b-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    ハイブリッドシステムは時間進行に伴って連続変化と離散変化を繰り返す系であり, 物理系やサイバーフィジカルシステム等に広く適用できる概念である. 我々は, ハイブリッドシステムのモデリング言語であるHydLaとその記号シミュレータHyLaGIを開発している。 HyLaGIは記述された制約をHydLaの意味論に従って解くが, 記号を残した誤差の無いシミュレーションには様々な困難がある. 本研究は, HyLaGIにおける離散変化の要因が多数ある問題のシミュレーションの高速化を目的とする. 現在のHyLaGIでは, 離散変化発生の原因をしらみつぶしに探索するため, その数に比例して実行時間が増大することが分かっている. 制約で記述された多数の離散変化条件を包含する緩和問題を作成し, 分枝限定法を用いた効率的な解探索をする手法の提案とプロトタイプ実装を行い, 目的とする例題での実行時間の抑制を実現した.

  • 堀内 貴文, 上田 和紀
    セッションID: 1E3-OS-3b-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    HydLaは、ハイブリッドシステムを記述するためのモデリング言語である。ハイブリッドシステムとは、離散および連続な状態の変化が混在した系の総称であり、HydLaは制約概念に基づいた設計により複雑になりがちなこれらの系を正確かつ簡潔に表現することができる。また、不確定値を含む式の適切な処理やシミュレーションと検証機能の統合など、他の言語に見られない独自の特徴を備えている。2008年より早稲田大学上田研究室を中心に設計および開発が進められてきた本言語は、過去に様々な改良がなされている。しかし、多数の物体との衝突を扱うような大規模なモデルにおいて、制約条件の個数の増加に伴いシミュレーションの処理時間も増大するという問題が指摘されていた。本研究では、モデルに含まれる不変条件、特に単調性を活用することにより、シミュレーション処理中に不要となった制約を動的に削減する手法を提案した。実装および性能評価の末、従来存在していたシミュレーション時の非効率性を排除することができた。本提案手法の適用により、処理時間が半分に短縮される例も見られ、単調性をはじめとした不変条件を活用することの有用性が確認できた。

  • 山﨑 健成, 角 薫
    セッションID: 1E4-J-12-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本研究では,英単語の動詞の意味を学習者が演じ,ゲーム内のキャラクタがその動作を見せることで英単語を学習するシステムを開発した.小中学生を対象とした学習者は,英単語の発音を聞き,意味を理解し,発音をし,自分で演技し,同じ演技をキャラクタの動作として反映したものを見ることで英単語を学習することができる.小学6年生の児童を被験者に本システムを利用してもらい,事前事後テストによりシステムを検証した結果,学習効果が認められた.

  • 西本 林太郎, 岡本 勝, 松原 行宏, 岩根 典之
    セッションID: 1E4-J-12-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本稿では、ヘッドマウントディスプレイとトラッキングセンサーを用いたVR型テニス練習支援システムを提案する。 このシステムでは、ユーザは仮想環境内に構築された仮想テニスコートでラケットを振ることによってスイングを練習することができる。 ヘッドマウントディスプレイおよび実際のラケットに取り付けられたトラッキングセンサーを使用することによって、頭部の位置およびラケットの位置を測定することができる。 測定された情報から、仮想ラケットと仮想ボールとの間の相互作用が計算され、この計算結果は仮想環境におけるフィードバックとしてユーザに示される。 検証実験では、HMDを用いたシステムと2次元映像を用いたシステムを比較を行った.実験結果より仮想ボールの軌跡を示すために、ヘッドマウントディスプレイを使用することが2次元映像のディスプレイよりも効果的であることが確認された。

  • 久保 静真, 岩澤 有祐, 鈴木 雅大, 松尾 豊
    セッションID: 1E4-J-12-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    身体の3次元構造を利用したGANベースの仮想試着の手法を提案する.既存手法として,GANやSwapGANが存在するが,それらは直立正面以外の姿勢の人物画像ではうまく着せ替えを行なうことができないことがある.提案手法では,画像の各ピクセル点に対応する3次元の3Dモデル上の点をDenseposeで推定することによって,身体構造の情報をモデルに組み込んだ.それにより,様々な姿勢に対応ができる.提案手法は2段階のネットワークになっている.まずパーツ生成ネットワークでパーツを生成し,それを人物画像にマッピングし,着せ替え画像を生成する.その後,精錬ネットワークでその着せ替え画像を精錬する.実験では,提案手法の生成結果を示し,既存手法との比較により,様々な姿勢の人物の着せ替えに有効であることを示す.

  • 清水 菜々子, 東野 利貴, 曽我 真人
    セッションID: 1E4-J-12-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    ヒューマン・コンピュータ・インタフェースを考えるにあたって,人間がどのように認識・判断・行動を行っているのかを知ることが重要となる.そこで,人間の認知処理過程をモデル化したものに,Cardらのモデル・ヒューマン・プロセッサ(MHP)がある.しかし,このMHPは経験則から処理時間を予測したものであり,脳活動の側面からはあまり検討されていない.本研究では,特徴的な脳波である運動準備電位(RP)に着目し,基本的ユーザ・パフォーマンスを行っているときの脳波を計測することで,脳活動の側面から検証を行った.実験の結果,MHPは特徴的な脳活動であるRPの側面からも概ね説明できることが分かった.

  • 価値観・HIコンソーシアム制作コンテンツ「連想ミシュラン」の紹介
    佐々木 淳
    セッションID: 1F2-NFC-1-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    当チャレンジセッションにおいては、昨年6月の人工知能学会において発表したAOI TYO Holdings㈱によるストーリーテリング・読後感の関連解析データベース<Creative Genome>について改めて簡単に触れた上で、世界価値観との関連においてシナジーマーケティング㈱、㈱アマナイメージズ、AOI TYO Holdings㈱各社による「価値観・HIコンソーシアム」が制作した連想コンテンツについて説明する。当該コンテンツではシナジーマーケティング㈱による人間価値観データベースである<Societas>と、上記<Creative Genome>の定義軸を相互に連携させ「価値観に基づく特定の感性が、特定ストーリーや読後感を嗜好する関係」をモデル化、これを用いてコト(・モノ)へのデータラベルを新たに定義することを目標としている。当コンテンツにおける研究を端緒として、両データベースの底流をなすHI(ヒューマンインテリジェンス)に基づいた独自の社会知データベースを構築していくことが、今後のデータ社会においてどのような本質的価値をもつかについても説明する。

  • 谷田 泰郎, 高椋 琴美, 齋藤 有紀子
    セッションID: 1F2-NFC-1-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    人間の理解に基づくコミュニケーションは非常に重要である。然しながら、そのメカニズムを理解することは必ずしも重要ではない。本稿では、膨大な情報から情緒的価値(感覚的な感性価値)のみを抽出する「心のモデル」を提示する。

  • 芸能情報システムのための調査・分析・合成
    小方 孝, 小野 淳平
    セッションID: 1F2-NFC-1-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    筆者は物語生成の観点から,特に「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」の観点から,歌舞伎における要素と技法を調査・分析して来た.本論文の目 的は,歌舞伎における二つの要素(人及びストーリー)と同じく二つの技法(綯 い交ぜ及び尽し)を選び,その組み合わせ的な,あるいは多重的な使用について 考察することである.結果として,筆者は自動的に生成・編集された,役者の記 述・二つの歌舞伎作品の梗概・綯い交ぜと尽しの技法を利用して編集されたシナ リオを含む例を示す.この例は,「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」におけるある反復生成過程におけるある特定の地点におけるストーリーに対 応する.

  • 小野 淳平, 佐々木 淳, 小方 孝
    セッションID: 1F2-NFC-1-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本研究の目的は,TVCMにおける広告プロットを自動で生成する仕組みの提案である.TVCMは短時間の映像である.しかしながら,TVCMには何らかの共通の構造があり,その点で物語論の対象となる物語を持つ.本稿では,広告における物語に焦点を当て,統合物語生成システムと「Creative Genome」を利用した広告プロット生成手法を提案した.前者は物語論と人工知能の諸技術を統合した物語生成システムであり,後者は既存のCMについて受容者の感情に対する影響や制作手法を記述したデータセットである.提案手法では前者の知識体系により後者に対して具体的な生成手順と構成要素を与えている.以上により,物語論を踏まえた研究である「Creative Genome」及びINGSの諸成果を融合することで広告プロットの生成が可能となった.

  • 小野 淳平, 小方 孝, 伊藤 拓哉
    セッションID: 1F2-NFC-1-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
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    本研究の目的は,日本の昔話のモチーフを物語生成で利用することである.ここでいうモチーフとは,ある一話の昔話において,それを構成する主要登場者による主要な行為と,それに対応する行為を含む単位である.我々は以上の目的のため,モチーフプログラムを開発した.このプログラムは,『日本昔話大成』に収録された昔話に基づく.モチーフプログラムは、元の昔話の構造に基づいた木構造データと,その木構造データを物語生成に用いる物語木に変換する仕組みとを有する.以上の開発により昔話のモチーフを用いた物語生成が可能となった.

  • 小林 一樹, 下林 史弥, 寺田 和憲, 吉河 武文, 佐藤 寛之, 土屋 博之, Atchariyachanvanich Kanokwan
    セッションID: 1F3-OS-17a-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,農園における鳥害防止のための追い払いシステムを提案する.農園での鳥の追い払いでは,鳥が刺激に慣れてしまい,効果が継続する時間が短い問題ある.提案手法は,この問題の解決のために,深層学習によって鳥の位置検出を行い,鳥の行動に合わせて追い払い刺激を与えるアプローチをとった.電動雲台と超指向性スピーカを組み合わせたシステムを開発し,刺激提示範囲を限定できることを実験により確認した.

  • 高井 亮磨, 小林 一樹
    セッションID: 1F3-OS-17a-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    IoUやICTを農業に応用することで,生産性の向上を目指す研究が行われている.本研究では,深層学習を用いて,農園モニタリング画像から,隠れた領域を含めた果実領域抽出を行うことで,果実の生長を把握する手法を提案する.隠れた果実領域を深層学習させるために,隠れ領域を自動で生成する訓練データ拡張手法を開発した.生成した訓練データをCOCO学習済みモデルに追加学習した結果,果実検出精度が向上したとともに,隠れた果実領域の検出も可能となった.

  • 難波 脩人, 辻 順平, 能登 正人
    セッションID: 1F3-OS-17a-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    近年,熟練農家の知見を再現するために教師あり学習を用いた研究が盛んにおこなわれている.一方で,農業のような複雑な要因が絡む作業において農家が行っている農作業が最適かどうか判断することは困難であり,農家の知見から集めた訓練データを用いて学習した結果が最適解かどうかの判断は難しい.我々は熟練農家の知見に依存せずに学習を実行する強化学習によって栽培の最適化を行うことを目的とした.植物に対して強化学習を適用する際に重要な点として状態の定義があげられる.植物の状態は時間とともに変化することから同じ状態は1試行の中に1度しか現れず,Qテーブルを作成することが現実的ではない.また,植物は短期間に何度も栽培できないため,学習に必要なデータが十分に集まらず,学習が収束しない恐れがある. 本研究ではQ関数の作成にニューラルネットワークによる関数近似を用いる手法を採用した.さらに,学習が収束しない可能性を考慮し,experience replayによる過去の経験を再利用することでデータ数の少なさをカバーした.結果として,植物は自らの背丈に合わせて潅水量を決定する行動をとる様子が確認できた.

  • 磯山 侑里, 江村 文代, 佐藤 裕久, 篠崎 隆志
    セッションID: 1F3-OS-17a-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    施設栽培のトマトは環境管理システムの普及により生産性が向上しており、計画生産、計画出荷が求められる段階になっている。畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network,以下CNN) による画像分類を発端にして発展した画像検出技術Regional CNN(以下RCNN)によって果実を検出する事によって収穫量を予測できる事が期待できるが、高い空間密度で結実するトマトを検出する為の研究は十分に行われていない。そこで本研究ではFaster RCNN (F-RCNN) およびSingle Shot Detector (以下SSD) を用いたトマトの果実検出システムを構築し,その検出精度と収穫量予測における精度を検証した。 結果、SSDに比べてF-RCNNのほうがより安定した収穫量の予測が可能であった。さらに1枚毎の画像を用いた検出システムより複数の画像から検出した果実の総数で評価する方が検出数の精度が高かった。また、その標準偏差の小ささから農場全体の収穫量予測としては予測値に一定の係数を乗じることによって一定の精度の予測が可能であることが示唆された。

  • 竹崎 あかね, 前山 薫, 朱 成敏, 武田 英明, 吉田 智一
    セッションID: 1F4-OS-17b-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    作付計画の際に複数作物の経営指標を比較検討する場面を想定し,農作業基本オントロジー(AAO)を共通語彙に利用した作業時間分析を提案した.農業経営指標の作業時間は,データ名を変換しないと野菜栽培体系間で比較ができなかった.AAOに対応付けて作業時間を集計することで,データ名を変更せずに,作業目的や旬別による野菜栽培体系間の比較が可能になること,AAOの下位階層で集計すれば具体的作業の比較も可能になること,AAOに対応づけた他の基準での比較も可能であることを確認し,作業時間の分析が簡便化すると結論づけた.

  • 朱 成敏, 武田 英明, 竹崎 あかね, 吉田 智一
    セッションID: 1F4-OS-17b-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    農業分野で語彙は表記の多様性があり同じ意味を持つ概念でも様々な表記で用いられる場合が多い。こういった表記の揺らぎは農業データやコンテンツなど農業ICTシステムにおける情報利用において妨げとなる。筆者らは先行研究で農作業における標準語彙である農作業基本オントロジーと農作物の語彙を整理した農作物語彙体系を連携し、農業分野のナレッジグラフとして構築を行なった。農業ナレッジグラフは農業分野の概念が持つ様々な情報の意味関係を定義しており、語彙の変換や目的によって概念の階層を変更することも可能となる。また、収録されている同義語や英名を利用することも可能となる。本研究は農業ナレッジグラフを用いて表記の揺らぎ、概念の上下関係を用い。一貫性のある情報抽出を提案する。実際の営農記事を用いて実験を行い、意味関係から農作業に注目した農作物の類似性を判別する。

  • 亀岡 孝治, 田口 拓実, 西川 恵梨子, 伊藤 良栄, 橋本 篤, 湯川 徳之, 大引 伸昭
    セッションID: 1F4-OS-17b-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    日本料理の出汁の評価では、料理人はうま味と雑味のバランスを重視する。うま味の研究は数多いが、雑味の視点から昆布出汁を評価する研究はほとんど行われていない。しかし、日本料理ではうま味と雑味のバランスを考えた調理法は有用であり、雑味の特徴を明らかにする必要がある。そこで本研究では、昆布出汁における雑味の特徴を明らかにすることを目的とした。具体的には, HPLC・中赤外分光分析・蛍光X線分光分析を用いたアミノ酸・糖・ミネラルの分析と、人が感じる総合的な味覚を表現するためのQDA法の確立とその手法による出汁の品質評価を行った。光分析手法による解析の結果、雑味を感じた昆布出汁には「旨味が少なく、ミネラルや糖が相対的に多い」という特徴が確認された。またQDA法では、おいしくない昆布出汁の特徴も捉えるために、出汁に向かない昆布や通常用いない調理条件を含む32種類の昆布出汁を用いて評価用語を作成した。あわせて、QDA法を用いた解析結果から、雑味へのアプローチとして、香り・風味に着目することや、カリウムなどのミネラル類の影響を考慮する必要性が導き出された。今後は、機械学習やAIを用いた解析が必要である。

  • 入部 百合絵, 曽我 真子, 兒嶋 朋貴, 増田 達明
    セッションID: 1F4-OS-17b-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    近年,牛などの家畜を飼養している畜産農家は,高齢化や若者の就業数の減少などの理由により年々減少する傾向にある.しかし,飼養される家畜の数は一定であるため,農家一戸当たりの家畜の数は年々増加する傾向にある.また,家畜の個体識別や状態把握を行う際,飼養者は家畜を捕獲して識別や計測を行うための機器を取り付ける必要があるため,飼養者と家畜の両者に負担がかかる.このことから畜産農業の分野においてもICTによる支援が重要と考えられる.特に個体識別は,家畜個々の健康状態や発情時期を把握するために必要となるため,本研究ではICTを用いて個体識別を簡便かつ正確に行うための手法を提案する.特に本研究では牛が自然に発する情報の一つである鳴き声を用いた個体識別法を提案する.牛の鳴き声は人間と同様に発声方法や声質に違いがある可能性が高いため,個体識別の判定材料として有用であると考えられる.本研究での分析結果より個体識別に有用な音響的特徴が明らかとなり,それらの特徴量を用いた個体識別では96.8%という高い識別率を得ることができた.また,提案の識別手法の方が先行研究の識別率よりも約30%高いことを確認した.

  • 沖本 祐典, 斎藤 奨, 中野 鐵兵, 赤羽 誠, 小林 哲則, 小川 哲司
    セッションID: 1F4-OS-17b-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    肉牛の繁殖農家が牛の分娩の予兆を事前に察知し介助可能とするため,牛舎内のカメラの映像情報からパターン認識により分娩予兆検知を行う研究が進められている.この時,パターン認識器による誤通報を減少させるため,クラウドソーシングを用いてパターン認識結果を人手で二重チェックさせる方法が考えられる.しかし畜産の専門家ではないクラウドワーカーにとって肉牛の分娩予兆を映像情報から判別するタスクは一般的ではない.本研究では,実運用を目指した肉牛の分娩検知システムを設計し,分娩予兆の通報精度の評価を行った.羊膜・尿膜の露出を分娩予兆として取り上げ,それを人手で識別させるタスクを設計した.シミュレーションにより二回分の分娩予兆イベント検出を評価した結果,パターン認識器のみの場合の適合率が0.049と0.22であったのに対し,クラウドソーシングを用いた場合は0.91と0.83に向上した.この結果から,パターン認識結果をクラウドワーカーに検証させることで,適切に誤検出を抑制できることを示した.

  • 人をウェルビーイングへと導くエージェントの提案
    小野 哲雄
    セッションID: 1G3-OS-13a-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    行動経済学において提唱されている“ナッジ” (nudge) は「ほとんど気づかないくらいにささやかな方法」で人々を健康や幸福へと導く戦略 [Thaler 08] として知られ,Thaler は当該研究の業績により2017年にノーベル経済学賞を受賞した. AIやIoTなどの情報技術の急速な発展により,社会システムのリデザイン (再構築) が求められている現在,本研究では“ナッジ”を「心のナビゲーション」として捉え,それを我々がこれまで約20年間にわたり研究を進めてきた Human-Agent Interaction (HAI) の基盤技術を用いることで“ナッジ”エージェントとして実装することにより,人々を「良い行動」へと導くことが可能な,新しい社会的インタラクションの枠組みを提案する. 具体的には,HAI基盤技術を用いることにより,人の意思決定を方向づける認知的環境 (選択アーキテクチャ) を操作可能な“ナッジ”エージェントを構築し,実際の家庭や商業施設などでのフィールド実験をとおして,このエージェントが人々の意思決定を健康や幸福へと“それとなく”導くことが可能かどうかを検証する.

  • 商品の性質に関する検討
    藤崎 樹, 本田 秀仁, 植田 一博
    セッションID: 1G3-OS-13a-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    情報技術の発展により、私たちは他人の意見を大量に、かつ手軽に入手できるようになった。しかし、人が、その他人の意見をどう活用しているかについては明らかになっていない点が多い。アマゾンに代表されるレビューサイトでは、多種多様な商品が表示されている。特に、商品の性質によって、感情ベースの消費、実用ベースの消費という、2種類の消費形態のいずれかが促されうることが知られている。本研究では、こうした商品の性質が、他人の意見の捉え方にどのような影響を与えるか検討する。「他人の意見」としては、評価分布に焦点を当てた。実験では、参加者に二択の商品選択課題を行わせた。この課題は、1つの商品名と、それに対する2つの評価分布から構成される。2つの評価分布は、評価の平均値は近いものの、分散が大きく異なる(高分散/低分散)。結果、商品の性質が、評価分布の選択傾向を変化させることが明らかになった。具体的には、感情ベースの消費を促す商品では、高分散が選択される確率が、実用ベースの消費を促す商品よりも高くなった。本論文では、この結果が生じた認知メカニズムを議論すると同時に、「ナッジ」に与える示唆について考察した。

  • ~意思決定環境の操作から態度の変容を促す~
    白砂 大, 本田 秀仁, 植田 一博
    セッションID: 1G3-OS-13a-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    ナッジおよび身体性認知の先行研究に基づき、本研究では新たなタイプのナッジとして、意思決定環境が作り出した体勢から、特定の意思決定を促すことを提案した。本稿では、前傾体勢が実際に意思決定に影響を与えるのか、またもし与えるとしたら、どのような意思決定がより影響されるのかについて、それぞれ検討することを目的とした。2つの行動実験を通して、実験参加者の前傾体勢が意思決定を、とりわけ自身の態度を変えようとする意思を、促進することが明らかとなった。本研究の知見は、望ましい意思決定に向けた環境や人工物のデザインを考える契機になるであろう。

  • 中橋 亮, 山田 誠二
    セッションID: 1G4-OS-13b-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    自律エージェントと人が協調して一つのタスクを解く問題はHuman Agent Interactionの分野で一つの大きなテーマである.我々は人間の計画を単純に補助するだけでなく,人間の計画自体を自然に改善する協調エージェントに興味がある.このようなエージェントが有用な状況として,人とエージェントが互いにタスク達成に関する情報を一部しか持たない状況が考えられる.我々はこの状況において,人とエージェントが互いに行動を通じて情報を暗黙的に伝達するという前提の基で協調するエージェントのフレームワークを開発した.我々は対象の状況をHuman-Agent Team問題として定式化し,この問題におけるエージェントのプランニング手法を考案した.この手法は人の他人の目的推測モデルとそのモデルを想定した協調プランニングアルゴリズムの2部から構成されており,それぞれCIRL,Bayesian Inverse Planningという既存手法の改良によって実現されている.我々は人間が自律エージェントと簡単な作業を達成するという参加者実験を通じて手法を評価し,参加者との共同作業のパフォーマンスが上がることを確認した.

  • 榎波 晃一, 今井 倫太, 奥岡 耕平, 秋田 祥平
    セッションID: 1G4-OS-13b-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    高齢化社会において,電動車椅子の操作感の向上は一つの課題である. 特に近年めざましい発展を遂げている自動運転技術をいかに電動車椅子に適応させるかは重要である. 本論文では,ゲイン自動調整機能付き電動車椅子においてゲインが変化することを運転者に事前通知する画面エージェント,Mizusakiシステムを提案する. Mizusakiシステムは運転者に直接操作方法を指導するのではなく,ナッジ効果に基づき周囲環境や内部情報を提示することで運転者の行動決定に介入し,操作性・安全性を向上させることを目的としている. Mizusakiシステムはベクションと色彩という周辺視野においても認識されやすい画面効果を使用しているため,運転中であっても運転者の注意を惹くことができ,また不要な時に注視を要求しないことが期待される. Mizusakiシステムの設計にあたり,最適な提示タイミングを調査するため,提示タイミングを変更してのシステムの評価実験を行った. 実験の結果,より早いタイミングで提示を行う場合,運転者により良い印象を与えるということがわかった.

  • 岡村 和男, 山田 誠二
    セッションID: 1G4-OS-13b-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    人間と自律的システムの協調作業において、人間が持つシステムへの信頼をシステムの実 際の能力にバランスさせることを、信頼較正(trust calibration)と呼ぶ.適切な信頼較 正を行うことで過信や不信状態に陥らないことが、協調作業の効率や安全性にとって非常 に重要である.これまでの研究においては、適切な信頼較正のためには、システムの状態 を透過的に提示すること (system transparency)が重要であることが示されている.しか しながら、筆者の知る限り、不適切な信頼較正状態になっているかどうかの判定および過 信不信状態からの復帰についての研究はあまり行われていない.本研究では、状態判定の ためのフレームワークと信頼較正CUEと呼ぶ情報提示を使い、適応的に信頼構成を促す新 たな手法を提案する.ドローンシミュレータを用いたオンライン実験による評価を行い、過 信状態のタイミングにて信頼較正CUEを提示することで、行動が有意に変容することを観 察した.これにより本研究の提案手法の有効性を示すことができた.

  • 森山 紘行, 李 亜超, 下川原(佐藤) 英理, 山口 亨
    セッションID: 1H2-J-13-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    アニメは、経済と文化の中で重要な役割を果たしてきている。しかしながら、アニメーションの生成は重労働であり、コストがかかる。この問題を解決するため、我々はアニメーション生成モデルにおいて、Cartoon GANを基礎とした、新しい問題解決方法を提案する。Cartoon GANは画像のスタイル変換ネットワークの一種であり、現実世界の画像から漫画風の画像を生成することを達成してきている。ディープラーニングでは、動画生成において通常2つの手法が存在する:3次元畳み込みか、2次元畳み込みに時間的処理を加えたものである。しかし、従来手法では漫画スタイルの動画生成タスクにおいて十分な滑らかさを獲得出来ていない。動画の漫画スタイル変換タスクに向けて、我々の新しい解決方法は2つの画像フレームとオプティカルフローをgeneratorへの入力として用いることである。本稿では、オブジェクトの動き予測に有効であるオプティカルフローを適用することで、アニメーション生成を行った。

  • 浦地 勇人, 松村 昂輝, ハガド フアン ロレンゾ, 福井 健一, 沼尾 正行
    セッションID: 1H2-J-13-02
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    映像コンテンツの効果を評価することで、コンテンツ作成者は視聴者が自分の作品をどのように感じたのかを知ることが可能である。この評価プロセスでは伝統的にアンケートデータを使用してきた。しかし、この手法では参加者バイアス、実験者バイアス、または人間の多様性を含むため、正確な評価は困難である。またこれらを極力排除するためには、適切な被験者を得る必要があり、これには高いコストが発生する。これらの問題に対処するため、本研究では、ビデオコンテンツに対する感情反応を評価するにあたり、アンケートに加え、生体情報を補足する手法を提案する。具体的には、自己報告型アンケートと心電図を組み合わせたものである。対象となるのは、テレビコマーシャル(15秒間)とニュース番組の視聴者である。その結果、有効な特徴量に着目することでニュースのわかりやすさという高次の感情を予測できることが示された。それに加え、15秒間という短い動画でも信頼性の高い生体情報である心電図から感情を予測できることも示された。実験にはVRヘッドセットと安価な器具を使用し、コンテンツへの没入感を高めることで、高い学習精度を実現するデータを取得した。

  • 川野 陽慈, 佐藤 季久恵, 高屋 英知, 須賀 聖, 山内 和樹, 栗原 聡
    セッションID: 1H2-J-13-03
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    場の雰囲気は,人と人との間に流れる「空気」や視覚情報,聴覚情報などが複雑に絡み合うことによって形成されている.これを人為的にデザインする場合,特に視覚情報と聴覚情報(BGM)をコントロールすることが重要である.BGMには感情誘導効果やイメージ誘導効果があるとされており,小さな労力で場の雰囲気に合わせることができる.本研究では,店舗の雰囲気に適したBGMを推薦するシステムの構築を目指す.従来研究では,場の雰囲気から想起する人間の喜びや悲しみ,怒り (ストレス),落ち着きなどの感性評価はアンケートやインタビューなどの測定方法が用いられていた.しかし,この評価方法では被験者の顕在意識に影響を受ける可能性がある.また,従来研究では,没入感のない画像を見て評価を行っており,現場にいる感覚での推薦に至らない可能性がある.そこで,本研究では人手による音楽の印象抽出ではなく,脳波を読み取ることで人が潜在的に抱く印象を抽出した.また,Virtual Reality(VR) を用いることで,あたかも現実空間にいるような環境で,あらゆる空間での実験を行った.

  • 山本 周典, 森 直樹
    セッションID: 1H2-J-13-04
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では Genetic Programming (GP) に基づく対話型楽曲自動生成システムを提案する. GP における楽曲の近似評価方法として,VRAE(Variational Recurrent Auto-Encoder)を拡張した segmented VRAE を用いた. segmented VRAE では一般的な VRAE とは異なり楽曲を一定幅ごとに潜在変数に写像し,楽曲を複数の潜在変数によって扱う.この結果,楽曲の全体の長さに左右されることなく潜在変数を獲得することができる.得られた潜在変数をもとに適応度関数を作成することで,ユーザの嗜好を示す入力楽曲の要素を適切に反映しつつ定量的な楽曲生成を目指す. 実験では segmented VRAE および従来の VRAE を比較することで,segmented VRAE が可変長の楽曲に対して高い精度を示すことを確認した.また,segmented VRAE を基づく近似評価に従い,GP がユーザの入力に沿った楽曲最適化に成功したことを示した.

  • 寺内 光, 森 直樹, 上野 未貴
    セッションID: 1H2-J-13-05
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    人工知能(AI)に人間の創作物を理解させようとする研究が盛んである.しかし,それらは依然として難しいタスクである.本研究では,人間の創作物の中でも特に4コマ漫画を扱い,AIに理解させることを目的とする.この挑戦のために我々は「4コマ漫画ストーリデータセット」と呼ばれる新しい漫画データセットを用いる.このデータセットはAI創作の開発のために研究者と漫画家によって作られた世界初のデータセットである.本研究ではコマ画像のタッチ識別をするが,方法としてはオートエンコーダモデルを用いてコマ画像を分散表現化し,その分散表現を用いて識別タスクを解き,テスト画像がいずれのタッチであるか判断する.そのタッチ識別タスクの識別率によって分散表現の間接的な評価を行うこととする.また,顔のパーツ等を抜いた画像に対して同様の実験を行うことにより,提案した手法の有効性を確認する.

  • 仲川 正則, 齊藤 葵, 村上 和哉, 谷口 竜, 黒田 裕芳, 伊藤 政彦, 矢嶋 知己, 秦 史壯, 中西 崇文
    セッションID: 1H3-J-13-01
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/01
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では、病院内の行動ログと各看護師の属性データを用いた行動予測の実現方法について述べる。近年、医療従事者の仕事の忙しさと複雑さが社会問題となっており、情報技術を応用して医療スタッフの業務効率を実現することが重要である。実際の医療現場において札幌道都病院の協力を得て、RFIDタグを貼付して行動データを収集している。本手法ではこれらの実際の行動データを用いてLong-Short Term Memory(LSTM)を適用することで行動順序に基づく行動予測を実現した。行動予測法を適用することで、医療スタッフの最適配置など作業効率の向上を実現する。

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