主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 第34回全国大会(2020)
回次: 34
開催地: Online
開催日: 2020/06/09 - 2020/06/12
本研究では、古代から近代への人類社会の移行をその中で生じた社会的共有資源の種類の物質から情報への変化の観点から扱い、その変化がどのように言語進化プロセスの促進をもたらすか、を知ることを目的として研究を行った。この目的のために、我々は、先行研究で用いられた言語の生物文化共進化モデルを拡張した。具体的には、その資源共有プロセスを認知言語能力とコミュニケーション能力の両方が重要な形式に拡張した上で更に、そこに資源有限性を導入した。ここで、資源有限性が高い状態は社会的共有資源の種類が物質が主な社会である古代社会に対応し、低い状態は社会的共有資源の種類が情報が主な社会である近代社会に対応する。このモデルを用いて、異なる値の資源有限性の条件で計算機実験を行い、その結果を比較した。実験の結果は、資源有限性の減少が、言語多様性の減少と、言語と言語能力の共進化プロセスの促進を通して、言語の適応進化を促進させうることを示している。