人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第34回 (2020)
セッションID: 4B2-GS-1-02
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日本語条件文は Jeffrey table 真理値表を持つか
*佐藤 彩子吉沢 栄貴高橋 達二
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キーワード: 条件文, 主観確率理論
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抄録

ロボットやAIアシスタントの普及に伴い、非プログラマのユーザーがAIにルールを伝える必要性が高まっている。人間が因果や約束、契約などを表現するのに用いる条件文「pならばq」の性質は古典論理学の実質含意とは異なるが、推論心理学においては条件文が条件付き確率 P(q|p) に整合的な確率論理的性質を持ち、前件が偽の場合は条件文の真理値は「真でも偽でもない」という第三の値を取ることが確立された。この第三値が更にどのような確率値を取るのかについての予想が Jeffrey table であり、前件 p が偽の場合の条件文の真理値(確率値)が常に P(q|p) となるというものである。本研究は、この予想を母集団を明示し確率値の計算が可能な場合と、明示しない場合のそれぞれについて、実験的に検証した。母集団を明示した場合については一定数 Jeffrey table パターンまたは P(p&q) に従う回答が得られ、非明示の場合は条件文を実質同値的に解釈する回答が多く得られた。これは先行研究とも整合的な、条件文に関する言語差あるいは文化差を示唆し、自然言語インターフェイスの日本での開発に重要性を持つ。

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© 2020 一般社団法人 人工知能学会
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