人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第34回 (2020)
セッションID: 4C3-GS-13-01
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計算と身体
『サワ☆博士の数楽たいそう』の実践を通して
*澤 宏司鶴島 亨
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キーワード: 身体, 計算
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抄録

本件では、筆者らが考案、実施する体操プログラム『サワ☆博士の数楽たいそう』に関する報告をする。本プログラムは簡単な計算を伴う全身運動群であるが、その特徴の筆頭は「運動をしながら無関係な計算をする」のではなく、「運動タスクの完遂に計算を必ず必要とする」ことにある。第2の特徴は、効率の良い計算、正確な身体活動を目指したインストラクションをしないことである。身体活動と、計算すなわち情報処理が密接な関係にある本プログラムはいわば「臨床の知」の最先端にあり、この観察を通して新たな知見を得るのが研究の目的である。身体活動は空間認知を伴い、即興の計算(によるエラー)は創発行為に近接し、複数による協働は主体・客体の関係を炙りだす。これらにより、身体活動を伴う計算は「頭を経由する入出力」ではない情報処理パラダイムとみなせる可能性がある。就学前後の子どもから高齢者に渡る幅広い世代に提供した機会をもとに、実践者・世代による同異や、情報処理パラダイムとの関連についての実践例、議論、展望を提供する。

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© 2020 一般社団法人 人工知能学会
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