契約書は2者以上の当事者によって取り交わされる法的文書である.そして,契約書を確認する法務担当者にとって,契約書を読み,記載されている権利と義務を正確に理解することが重要である.しかしながら,こうした作業は特に契約書が長く複雑な場合は時間がかかる.そこで,本研究では法務担当者の理解を支援することを目的として,権利義務の自動認識を行った.この認識は(1)当事者,権利,義務,要件,例外の5項目の該当テキスト範囲抽出,(2)各権利,義務がどの当事者のものかの認識,(3)各要件,例外がどの権利,義務と対応するかの認識,の3つのステップに分かれる.これらそれぞれのステップにおいて,ニューラルネットワークを用いて学習と予測を行い,実験結果について議論する.