主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2021年度人工知能学会全国大会(第35回)
回次: 35
開催地: オンライン
開催日: 2021/06/08 - 2021/06/11
クラウドソーシングは、教師あり学習で用いる正しいクラスラベルが付与されたデータセットを安価かつ大量の人的資源から効率的に取得する手段として広く使用されている。しかし、クラウドソーシングで高品質の結果を得るためには、作業を行うのが人間であることに起因した様々なばらつきや偏りへの対処が課題となる。例えば、個々の能力ややる気のばらつきによって起きる誤りの影響を抑えるために、複数のワーカーの回答を統合することで、結果の品質を向上する試みがなされている。一方、本研究では、ワーカーが作業対象のタスクを選択する際の偏りに着目する。ワーカーは置かれた状況や嗜好の違いなどに基づき、取り組むタスクの選択に偏りが生じ、これは結果の品質に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、因果推論等で用いられる観測バイアス除去の手法を用いてワーカーのタスク選択バイアスを取り除くことで、回答統合によって得られるクラスラベルの精度の向上を図る。人工データと実データを用いた実験によって、バイアスの存在を検証するとともに、一定の条件のもとで提案手法が回答統合の精度を向上させることを確認した。