グローバル・サプライチェーンやグローバルな株所有ネットワークは複雑な構造をしている。原材料は、様々な国や業界の多くの企業を通じて、最終製品にたどり着く。そのため、多数ある原材料から最終製品までの経路において、人権侵害や環境破壊に加担している企業や地政学的なリスクを抱える企業を人手で見つけることは容易ではない。本研究では、Tesla社のバッテリー調達経路を事例研究として推定し、推定した調達経路に潜在する経済安全保障リスクを、(1)従来型の地政学リスク、(2)ネットワーク型の地政学リスク、(3)隠れ支配型の地政学リスクの3つに分類して特定する。各リスクは、公開されている企業間取引や株主情報に関するネットワーク分析(媒介中心性、Network power index、Network power flow)から機械的に特定することが可能である。